草間動物病院

松本市埋橋2-7-11(地図はこちら)  TEL:0263-33-2875

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過去のインフォメーション


年月


2018年8月

今回はねこさんのクリプトコッカス症についてお話します。

クリプトコッカスはカビの一種で土の中やハトの糞のなかにいます。ねこさんがクリプトコッカスを 吸い込んだり傷がある場合クリプトコッカスに感染します。吸い込んで感染することが多いので くしゃみや鼻汁・鼻血などの症状がでます。ひどいイビキをかくようになることもあります。 また鼻にしこりができることもあります。

クリプトコッカスは常在菌という普通にどこでもいるカビです。免疫の状態に問題がなければ 感染しても症状はでません。猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスなどに感染しているねこさんは 免疫の状態が悪くなっていてクリプトコッカスに感染すると症状がでる場合があります。 以前は治りにくい病気でしたが今は新しくできた抗真菌薬で治療ができます。

またいぬさんやヒトにも感染します。ヒトの場合は糖尿病や抗がん剤を投薬されている方など 免疫の状態が悪くなっている可能性のある方は注意が必要ですが、そうでない場合はそれほど 心配される必要はありません。あまりない病気ですが猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスに 感染しているねこさんがくしゃみや鼻水がひどくなったり鼻のあたりにしこりができた時は クリプトコッカス症に注意が必要です。


2018年7月

「バカボンのパパよりバカなパパ」というドラマを見ました。天才バカボンの作者赤塚不二夫さんの 娘さんが父のことを書いた本をドラマにしたものでした。世の中の人を幸せにするために世界一の バカになろうとする赤塚不二夫さんの話です。

「賛成の反対」「シェー」「これでいいのだ」など天才バカボンを知っていればわかると思いますが 赤塚不二夫さんの実生活が天才バカボンそのものなのです。やっていることをインターネットで 配信すれば炎上すること間違いありません。今のこの社会の中では許されないことばかりかも知れません。

しかし赤塚不二夫さんはみんながよろこんで笑ってくれるためだけに真剣にバカをやっているのです。 ドラマを見ながらおもいっきり笑っておもいっきり泣きました。東日本大震災の時 「今の日本には赤塚不二夫が足りない」という声があったそうです。 私はこれからの日本にも赤塚不二夫が足りないと思います。


2018年6月

サッカーワールドカップ日本代表は予選を通過しました。ポーランド戦後半の最後はボールを回して 攻撃にでることなく1点差負けが2点差負けにならないようにして予選を通過しました。

また今回からビデオを見て審判の判定を変えることができるようになりペナルティーキックの判定が取り消しに なることもありました。ビデオを見るとゴール前で倒されたように見えたのが、相手の接触はなく 自分で倒されたように見せてファールを貰おうとしている場面が意外と多くあるのにびっくりしました。 世界の超一流といわれる選手がずるくて卑怯なプレーであることを承知でファールを貰おうとしているのです。 到底日本の代表選手ができるプレーではないと思います。

偶然ですがフェアプレーの数(イエローカードをもらった数の少なさ)で日本は予選を通過しました。 ポーランド戦は最後攻撃に出ないでボールを回したことで自分たちは卑怯なことをやっているのではないかという 葛藤があったと思います。しかしルールに乗っ取ったプレーで恥ずべきことではないと思います。

これから決勝ラウンドが始まります。日本代表らしくフェアープレーで勝ち上がってほしいと思います。


2018年5月

最近長野県に住んでいる男性がブルセラという菌に感染したというニュースがありました。ヒトは 牛・羊・ヤギなどの乳や乳製品からブルセラに感染すると言われています。

日本では牛や羊・ヤギなどを獣医師がブルセラに感染していないか検診をしているので ヒトが乳や乳製品から感染することはまずありえません。この男性も新しい種類のブルセラに感染していて、 ねずみからの感染の可能性が高いということでした。新しい感染症はいつでも気をつけなければいけないことですが 必要以上に心配する必要はありません。

また、今回のニュースとは別のことですが、いぬさんやねこさんがブルセラに感染しないか 心配されている飼い主さんもいらっしゃると思います。いぬさんはブルセラの一部の菌に感染します。 オスいぬさんは片方の睾丸が腫れた時、メスいぬさんは流産した時などにブルセラの感染の可能性を考えます。 統計的には3%のいぬさんが感染していると言われていますが、私は今までにブルセラの感染を診断した ことがありません。ごくまれな感染症だと思います。

また、ねこさんはブルセラに感染はしますが症状はでないと言われていますので基本的には心配しなくて いい感染症です。これからも感染症に関するニュースがあった時はヒトからまたいぬさんやねこさんから見た 感染症につてお話したいと思います。


2018年4月

今回はねこさんのリンパ腫という病気についてお話します。

血液のなかには赤血球、白血球、血小板という細胞があります。白血球のなかの1つがリンパ球です。 リンパ球は免疫を担当する細胞です。そのリンパ球やリンパ組織が腫瘍化してしまったのがリンパ腫です。 リンパ性白血病という同じような病気がありますがリンパ性白血病は体の中にしこりを作らないで 腫瘍化したリンパ球が増えてしまう病気です。

リンパ腫ができる場所はアゴの下・脇・内股・ひざの裏側などのリンパ節や縦隔という胸の中、 腸や腸のリンパ節、鼻・眼・腎臓・皮膚・神経などです。治療は抗がん剤をいくつか組み合わせて使用します。 切除が可能な場合は外科手術も行います。リンパ球にはT細胞とB細胞がありどちらの細胞由来の腫瘍かと いうことと、リンパ腫が高いグレードか低いグレードかを調べることによって使う抗がん剤の種類を決めます。

ねこさんのリンパ腫はいぬさんのリンパ腫と違って猫白血病ウイルスや猫エイズウイルスなどの感染があると、 リンパ腫を発症する確立が非常に高くなります。逆にいえばねこさんはウイルスの感染を予防することで リンパ腫になる確立を低くすることができます。

ねこさんのリンパ腫は罹ってしまうと完全に治すのが難しい病気です。すべて予防できるわけではありませんが ねこさんがリンパ腫に罹りにくくするために、外に出るねこさんや多頭飼育されているねこさんは 白血病ウイルスやエイズウイルスの予防をしていただくことも大切なことです。


2018年3月

愛知県の野犬にエキノコックスが寄生しているというニュースがありました。いままでエキノコックス というと北海道のキツネが罹っていて、そのキツネから人に偶発的に罹る病気というのが一般的な 話でした。エキノコックスという虫はエキノコックスの卵をネズミが食べ、そのネズミをキツネや犬が 食べて、キツネや犬の便に卵が出て、その卵の入った便をまたネズミが食べるというサイクルで生 活しています(生活環)。

愛知県の野犬にエキノコックスが寄生しているということは、エキノコックスが寄生したキツネや犬や、 卵が寄生したネズミが北海道から渡ってきたり連れて来られたりしたことが考えられます。 またエキノコックスが生活するのに人に寄生する必要はありません。人がエキノクックスに 罹っているキツネや犬を触って手を洗わなかったとか、キツネや犬の便が流れている山の水を飲んで しまったりすることなど偶然エキノコックスの卵を口にしてしまうことで、人がエキノコックスに 罹ってしまい重い肝臓病などを起こしてしまう事があるということです。

犬さんはエキノコックスに罹ってもほとんど症状がありませんので、症状から犬さんがエキノコックスに 罹っていることを診断できません。ネズミを食べた可能性がある犬さんの便の検査や遺伝子の検査をして 調べます。エキノコックスはもともと北海道だけの病気だったのが数は少ないですが本州でも見られる病気に なったということ、犬さんは症状がでないけれども人では非常に怖い病気だということです。ほとんど 心配する必要はない病気ですがネズミを食べたことのある犬さんは検査をうけていただくことをお勧めします。


2018年2月

平昌オリンピックが終わりました。今回もたくさんの日本のアスリートの活躍を見ること ができました。高梨 沙羅選手はオリンピックの重圧を乗り越えて銅メダルを獲りまし た。羽生 結弦選手は怪我を克服して異次元のオーラを放って金メダルを獲得しました。 渡部 暁斗選手は肋骨の骨折を公表せずそれを言い訳にしないで銀メダルを獲得しまし た。藤森 由香選手はあえて難度の高い技に挑戦して失敗しましたが悔いはないとすがす がしく語りました。小平 奈緒選手はオランダに留学して滑りと心を磨いて自分に限界を 作らず22ヶ月前から計画どうりに金メダルを獲りました。レースのあと同じく金メダル を期待された韓国選手が銀メダルになり泣いている横に寄り添い肩を抱いている姿にス ポーツマンシップに則り正々堂々戦うとはどういうことかという事を教えてもらいまし た。

私達の仕事もたとえば手術をする時、きちんとした準備と折れない心をもって臨まな ければいけませんがそれを体現してくれたのが小平選手だと思います。そして私達も少し でも同じような気持ちを持って仕事に臨みたいと思います。たくさんの感動をありがとう ございました。


2018年1月

今回は肥満細胞腫についてお話します。

いぬさんにできる肥満細胞腫は多くが皮膚にできます。 いぬさんの皮膚にできる腫瘍の7~21%は肥満細胞腫といわれていますので 皮膚にできた腫瘍はある程度の確立で肥満細胞腫といえます。小さなイボのように見えるもの、 赤くただれたもの、脂肪の中にブニョブニョして触れるものなど、いろいろな形や硬さのものがあります。 小さなイボのようでも脂肪のかたまりのようなものでも残念ながら肥満細胞腫は悪性の腫瘍です。

同じ肥満細胞腫でもステージがあり、低いステージであれば腫瘍の細胞を取り残さなければ手術で治ります。 高いステージの場合は手術と抗がん剤や放射線療法が必要になります。しこりに針を入れて細胞を見る ことでほとんどの場合診断がつきます。そしてその細胞や手術で切除した腫瘍からc-KIT という 遺伝子に変異がないかを調べることができます。

c-KITに変異がある場合、新しくできた分子標的薬という効果が高く比較的副作用の少ない薬を、 抗がん剤の代わりに使うことができるようになりました(分子標的薬と抗がん剤を併用する場合もあります)。

またねこさんの肥満細胞腫は皮膚にできるものと内臓にできるものがあります。大半は良性の腫瘍と いわれています。しかし皮膚にいくつも肥満細胞腫ができている場合は脾臓という臓器からの転移の場合があります。 触っても痛がらない小さなイボや脂肪のかたまりのようなもののなかには肥満細胞腫のような悪性の腫瘍も まれにあります。気になるしこりがあれば診察をうけていただくことをお勧めします。

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2017年12月

今年ももうすぐ終わります。暑すぎる夏、降りすぎる雨、寒すぎる冬、治まらない地震や噴火など 自然や気象の異常は今年も続いています。もうそういうものだと受け入れなければいけないかもしれません。

また残念ながらたくさんの惜しい方がお亡くなりになりました。

医師の日野原 重明先生も7月に105歳でお亡くなりになりました。生涯現役の医師を貫き ホスピスの専門病院を作るなど日本の終末期医療を築きあげた方です。先生の存在自体が患者さんの 希望だったと思います。そしてたくさんの名言を残されていますがその中に「よき眼と耳、 暖かい手と配慮の心、しみ込むような言葉を持ち、患者と家族に接したい」という言葉がありました。

日野原先生に及ぶはずもありませんが先生のような気持ちを持てるように努力し、いつか自分の実際に 経験したこととして日野原先生と同じようなことを患者さんにお話できるようになりたいと思います。

来年もよろしくお願いします。


2017年11月

今回は重症筋無力症についてお話します。

筋肉は神経から指令が来て縮むようになっています。指令である伝達物質が筋肉に届かなくなる病気が 重症筋無力症です。重症筋無力症になると、ほんの少しの散歩でも疲れて歩けなくなってしまい、 少し休むとまた歩くことができるというような症状がでます。

また食べた物を胃までうまく送ることができなくなったり、声がかすれたり息が速くなることもあります。 症状がひどくなると体を支えることができなくなって立てなくなってしまいます。

伝達物質を分解するのを阻止する薬を注射して診断します。注射をして、少しの散歩でも疲れて歩け なかった状態から数分で何の問題もなかったように歩けるようになれば重症筋無力症の可能性があり、 アセチルコリン受容体抗体というものがあるかを調べて確定診断となります。

飲みくすりで疲れやすくなる症状は治すことができます。しかしこの病気になると食道が拡がって しまって、食べた物をうまく胃に送ることができなくなってしまうことがよくあります。食道に 食べた物が残っているので下を向いたりした時、食べた物が肺に逆流して誤嚥性肺炎をおこして しまうことがあります。誤嚥性肺炎は命の問題になる怖い病気です。エサを立って(立位で)食べて もらうことで防ぎます。

重症筋無力症はそれほど多い病気ではありませんが他の神経の病気と間違えてしまうことがあります。 疲れやすくなったり、声がかすれたり息が速くなるような症状があるときは重症筋無力症の可能性があります。


2017年10月

今回はいぬさんの緑内障についてお話します。

いぬさんの緑内障は眼のなかにある水の圧(眼圧)があがってしまう病気です。 眼のなかにある水は眼の中で作られて眼のなかで排出されています。 緑内障はいろいろな原因で、眼のなかで作られる水の量より出る水の量が少なくなってしまって、 眼の中の水の量が増えてしまう病気です。眼が膨らんだ状態になるので眼に痛みがあり、 物が見えなくなってしまいます。

いぬさんの眼の痛みは、元気や食欲がない・寝てばかりいる・顔のあたりを触るのを 嫌がるなどの症状となることが多いので眼の痛みとわからないことがあります。 眼が見えにくくなると物にぶつかってしまったり、瞳(ひとみ)が開いて眼が緑色に 見えることがあります。また白目が充血して赤く見えます。

緑内障は症状がでてから2~3日で治療をしないと眼が見えなくなってしまう怖い病気です。 症状から緑内障とすぐに気がつかないことが多いので、治療をして視力を失わないで済む いぬさんは残念ながらごくわずかです。柴犬、シー・ズー、アメリカン・コッカーは 緑内障をおこしやすい犬種と言われています。

元気食欲がない、寝てばかりいる、眼が緑色に見える、白目が赤いなどの症状があったら なるべく早く診察をうけてください。


2017年8月

大町市出身の奥原 希望選手がバドミントン世界選手権で金メダルを取りました。 気力体力の限界まで戦い続けて獲得した金メダルでシングルスでは日本人初の快挙だそうです。 競歩では長野県出身の荒井 広宙選手が世界選手権で銀メダルを取りました。 夏の甲子園では9年ぶりに松商学園が初戦土浦日大に勝利し、2戦目は盛岡大付属に 負けましたが機動力を使いもしかしたら逆転できるかもしれないと何度も思わせてくれる 試合を見せてくれました。上松町出身の御嶽海も横綱の白鵬に土をつける活躍で東の関脇に 昇進しました。

最近長野県出身の方がいろいろなスポーツで活躍しています。スポーツで頑張っている姿は 本当にすばらしく多くの人に勇気や感動を与えてくれます。自分が頑張ったわけではありませんが 同じ長野県人として誇りに感じます。


2017年7月

西日本に住む50代の女性がねこに咬まれてSFTSという病気を発症して亡くなったという報道が ありました。以前お話しましたがSFTS というのはウイルスが原因となる病気で、人ではダニに咬ま れた時にウイルスが感染して発熱や出血が止まりにくくなるなどの症状でて、発症すると10%以上 の人が亡くなってしまうというものです。厚生労働省は稀な事例ではあるがSFTSを発症したねこ やいぬの体液等から人が感染することも否定できないという内容で注意喚起をしています。

今まで人はダニに咬まれることでSFTSにかかると考えられていました。ところが今回50代の女性はダニ ではなくねこに咬まれてSFTSにかかってしまったという報道でした。

まだはっきりしていないこともありますが人がSFTSにならないようするには、ダニとSFTSにかかったねこさんに、 咬まれないようにしなければいけないということです。ねこさんがSFTSにかかったのはダニに咬まれた ことによると考えられますので、ずっと家にいるねこさんはダニに咬まれていないので基本的には心配ないと いえます。外に出るねこさんはダニに咬まれる可能性がありますのでダニを駆除する薬(首に塗る スポットタイプなど)をお勧めします。薬が効いている状態でダニが血を吸うと2時間から48時間 以内にダニは死んでしまいます。

SFTSウイルスはダニが48時間以上血をすっていると急激に体の中に入るといわれているので 完全ではないですが薬をつけていればSFTSにはほとんどかからなくなります。 ずっと家の中にいるねこさんは必要以上に心配しないで下さい。外に出るねこさんはダニを駆除する薬を 使ってください。いぬさんもねこさんと同じことが考えられるので散歩に出るいぬさんはダニを駆除する薬を 使っていただいた方がよろしいと思います。


2017年6月

フレンチブルドッグは短命のことが多い。残念ながら本当のことです。以前お話しましたがいぬさんは 体重が軽いほうが人の年齢に換算すると若くなります。10キロのいぬさんが11歳のとき人の年齢に すると60歳ですが、25キロのいぬさんが11歳のとき人の年齢にすると72歳になります。10キロの フレンチブルドッグも11歳なら人の年齢で60歳ですが寿命は平均的には11~12歳と言われています。

これは短頭種気道症候群という病気が関係している可能性が高いと言われています。 短頭種気道症候群とは興奮やアレルギーなどの炎症で窒息しやすい、呼吸で体温を下げることがうまく できないことで熱中症になりやすい、空気を飲み込んで吐いたり誤嚥しやすい、幽門狭窄という 胃の病気がおきやすい、酸素をうまく取り込めないことから慢性に低酸素状態や肺高血圧の状態に なりやすいなどの症状がでます。

パグやチワワやシーズーも短頭種ですがフレンチブルドッグは特に短頭種気道症候群の症状が重度にでます。 いつでもハアハアしていて症状がひどい場合、軟膏蓋というところを切って息がしやすくなるような手術をお勧めします。

しかしフレンチブルドッグは麻酔のリスクが非常に高く、軟膏蓋がほかのいぬさんより厚く出血が多くなるので 手術自体も難しくなります。麻酔をかけることも手術することも大変ですので専門医を紹介して手術をしてもらう ことをお勧めすることもあります。

短頭種気道症候群の症状を軽くすることができればフレンチブルドッグのいぬさんはもっと長生きできる 可能性が高いと思います。来院された時などでフレンチブルドッグやパグ・チワワ・シーズーなどの短頭犬種で 呼吸や全体的な状態を診て短頭種気道症候群の症状が重度だと考えられる場合はまたこのお話しをさせていただきます。


2017年5月

今回は当院で行っているワクチンについてお話します。

いぬさんは5種混合ワクチンとレプトスピラワクチンの2種類があります。 5種混合はジステンパー・パルボ・伝染性肝炎・アデノ・パラインフルエンザの5つのウイルスの 病気を予防するワクチンです。レプトスピラを予防するワクチンは別に接種しています。 5種混合とレプトスピラは一緒に接種することもできますが体調を崩すいぬさんがいましたので 別々に接種しています。

ねこさんは3種混合ワクチンとエイズウイルスワクチンと猫白血病ウイルスワクチンの3種類が あります。3種混合ワクチンはパルボ・ヘルペス・カリシの3つのウイルスの病気を予防する ワクチンです。3種混合ワクチンと猫白血病ウイルスワクチンも一緒に接種 することができますがいぬさんと同じで同時に接種した後に体調を崩すねこさんがいましたので 別々に接種しています。

エイズウイルスワクチンと猫白血病ウイルスワクチンは、外に出てケンカを して咬まれる可能性のあるねこさんや、室内飼いでもたくさんねこさんを飼っていてその中のねこ さんでエイズや猫白血病ウイルスに感染している場合はお勧めしています。特に猫白血病ウイル スはお互いに舐めあうだけでも感染してしまうことがありますので、同居ねこさんで猫白血病ウイル スに感染がある場合は感染していないねこさんに猫白血病ウイルスワクチンをお勧めしています。

同じいぬさんねこさんでも飼っている環境などによってワクチンを接種する優先順位が違います。 また体調を崩しにくくするため別々に接種して面倒くさいと思いますが、飼っている環境などを お聞きしながらそのいぬさんねこさんに合ったワクチンのプログラムを考えてお勧めしています。


2017年4月

今回はコーギーにみられる変性性脊髄症についてお話します。

変性性脊髄症はダックスなどにみられる後ろ足が麻痺してしまう椎間板ヘルニアという病気に 症状がよく似ていますが、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークで発症遺伝子を持っている 場合にのみ発症する病気です。(海外ではバーニーズで発症の報告があります。 この遺伝子をもっているかは検査で調べることができます。)

最初、歩く時に後ろ足が交差したり爪の背中側が削れたりします。そのあと後ろ足がふらふらして 立てなくなります。便や尿がうまく出せなくなり、前足に力がなくなって前足で立つこともできなく なってしまいます。そのあと呼吸がうまくできなくなってお腹を使って息をするようになります。 麻痺があっても痛みがないことが特徴です。

残念ながら今の時点で治療法がわかっていません。変性性脊髄症を起こさないようにしたり 進行を抑えることはできませんが、介助用の散歩ができるコルセットなどを使って散歩をして もらって筋肉が縮まないようにすることで、歩行可能な期間を延ばすことができます。

最近見つかった病気でこれから研究が進むことで治療法もわかってくると思います。 治療がわかってきた時にはまた変性性脊髄症についてお話します。


2017年3月

東日本大震災から6年が経ちます。松本にいても生活必需品が品薄になったりテレビから映される 東北地方の甚大な被害、そのあと続く余震、原発の爆発など正常な精神状態でいられなかったことを 思いだします。

6年という年月が過ぎその時と今の気持ちには相当な変化があると感じます。 苦しいことを忘れることはいいことですが忘れてはいけないことの記憶が薄れてしまっては いけないと思います。

つい最近の岩手県釜石の写真を見る機会がありました。海から続く陸地にはまばらに建物がありますが、 ほとんど更地で赤土とできたばかりの道路があるだけの風景がひろがっていました。 本当の復興にはまだまだだと感じさせられました。そして自然災害の恐ろしさをいつまでも忘れては ならないということと、これから起きるだろうと思われるいくつかの自然災害に対する備えを していかなければいけないということを考え直しました。


2017年2月

高齢になったいぬさんやねこさんは便の形や仕方や状態が今までと違っていることがあります。 便の形が平べったくなったり細くなったり、便を何度もしたり、便にゼリーのようなものがついていたり 血がついていたりすることなどがあります。

便が平べったくなるときは腸の外側にあるリンパ腺が腫れていたり膀胱や尿道が腫れていたり、 オスの場合前立腺が、メスの場合子宮や膣に腫瘍や炎症など腸の外側に腫れがあり圧迫されて 便が平べったくなることがあります。

便が細くなている場合は腸に腫瘍や炎症があって腸の内側が狭くなって細い便になることがあります。

便を何回もするのは腸の腫瘍や炎症、肛門やその周囲の腫瘍や炎症、肛門の横から斜め下にできる会陰ヘルニア、 前立腺や子宮・膣の腫瘍や炎症、交通事故などの経験があれば骨盤骨折、ホルモンや神経の病気も可能性があります。

便にゼリーのようなものがついてたり血がついたりしている場合、大腸に腫瘍や炎症がおきている場合が 考えられます。年齢にともなって食欲が落ちて便が細くなる場合など特別な注意が必要でないこともあります。 しかしその中には気をつけなければいけない病気が隠れている場合もありますから便の状態を見て今までと 違うことがあればご相談ください。


2017年1月

いぬさんやねこさんが吐いた時2つの事のどちらかががおきています。

1つは嘔吐です。食べたものが胃や小腸までいって吐いたのを嘔吐といいます。 もうひとつは吐出です。食べたものが胃に入る前に口や食道から吐きだされることを吐出といいます。 吐出をおこす原因はたくさんありますがその1つとして重症筋無力症があります。

この病気は神経と筋肉の伝達物質の障害によっておきる病気です。症状は歩いていると 途中で座りこんでしまうなど疲れやすくなることと、えさを食べてすぐ吐く(吐出)などがあります。

吐出は食道が大きく広がって食べたものが胃に行かずに吐きだされることでおきます。 吐いたものが肺に入ると誤嚥性肺炎をおこしてしまい命の問題になってしまうことがあるので 立った状態でえさを食べてもらって誤嚥性肺炎をおきにくくします。

重症筋無力症は胸腺というところに腫瘍ができたり免疫の病気があったり甲状腺機能低下が あることによっておこります。診断はテンシロンという試験をすることで比較的簡単に判ります。 えさを食べてすぐに吐いたり散歩のとき急に座りこんで少し経つと普通に歩けるようなことがあれば重症筋無力症の可能性があります。

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2016年12月

今年ももうすぐ終わりになります。今年も日本では大きな自然災害がありました。

熊本では震度7の地震がありました。松本でも起こる可能性が高い直下型地震の怖さを感じました。 ブラジルではジカ熱という蚊からうつる病気が流行しました。温暖化が進むなかで日本でも蚊からうつる病気など、 今まで日本より暖かい国などでおきていたことが日本でもおきるかも知れないと考えさせられること もありました。

リオ五輪では陸上男子400メートルリレーで銀メダルを獲得したことなどたくさんの感動がありました。 また大隅良典先生がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。昨年に続き日本人がノーベル賞を受賞 できたのは本当にすばらしいことだと思います。

最近たくさんのニュースが飛び込んできて目まぐるしく変わって行く世の中のスピードについていけない気がしています。 その中で自分がしなければいけないことをしっかり見極めて、地に足がついたことをきちんとやらなければ いけないと思っています。難しいことですができるように努力していきたいと思います。

来年もよろしくお願いします。


2016年11月

今回はいぬさんの血管肉腫についてお話します。

腫瘍は上皮にできた悪性腫瘍を癌、血管や筋肉など上皮でない部分にできた悪性腫瘍を肉腫といいます。 血管肉腫は血管にできる悪性腫瘍です。血管は体のどこにでもあるのでどこでも発生する腫瘍ですが 特に多いのが脾臓で心臓や皮膚、肝臓、骨にも発生します。

血管肉腫は「血まめ」のような腫瘍です。脾臓にできるとおおきな血まめができているので パンクしてしまうことがあります。急に元気がなくなって交通事故などに遭ってお腹を ぶつけていないのにお腹に血がたっまている場合脾臓にできた血管肉腫がパンクした可能性があります。

また脾臓に血管肉腫がある場合25%は心臓にも血管肉腫ができていると言われています。

残念ながら悪性度の高い腫瘍ですが皮膚にできた血管肉腫は他の場所にできた血管肉腫より 予後がいいとされています。

皮膚に血まめのようなものがいくつもできていたりお腹が 大きくなってお腹にしこりが触れるようなことがあった場合血管肉腫ができている可能性があります。 気になることがあったら相談してください。


2016年10月

今回はいぬさんの乳腺腫瘍についてお話します。

めすいぬさんにできる腫瘍で一番多いのが乳腺腫瘍です。非常にまれですがおすいぬさんにも乳腺腫瘍はあります。 めすいぬさんにできる乳腺腫瘍は大体半分が良性、半分が悪性です。悪性の腫瘍はその中でステージという分類があり、 4段階に分かれています。悪性腫瘍は再発してしまうことがありステージの2番目までで15%以下、 4番目のステージでは40%と言われています。

治療は基本的には外科手術です。手術は腫瘍のある場所のみ切除する場合と、リンパの流れが一緒になる乳腺を 含む切除をする場合と、腫瘍がある側のすべての乳腺を切除する場合の3つの方法があります。 できている乳腺の腫瘍の状態やいぬさんの状態、飼い主さんの希望も含めてどういう手術にするか決めています。

また乳腺の悪性腫瘍の中で腺ガンは50%以上が卵巣から出るホルモンの影響を受ける腫瘍なので卵巣摘出術(避妊手術)を お勧めする場合があります。

当院は抗がん剤は基本的には使いません。希望される場合は腫瘍専門医にくわしい検査を受けていただいて 抗がん剤を使う必要性を考えて使用するか判断しています。


2016年9月

今回はいぬさんもねこさんにもある皮膚病の皮膚糸状菌症についてお話します。

この皮膚病の原因はカビです。いぬさんやねこさん同士やひとにも感染します。 主に耳や指に感染して毛が抜けます。毛の抜けたところはフケっぽく時間が経つと 皮膚が黒っぽくなります。ひとに感染すると皮膚に赤いリングのようなものができます。

診断は皮膚糸状菌を生やすことができる培地というものに皮膚病変があるところの毛を のせて1週間くらい観察します。培地にカビが生えてその下の培地の色が赤く変われば 皮膚糸状菌の診断がつきます。

治療は皮膚病が全身の場合は飲み薬で皮膚病の範囲が狭い時は塗り薬を使います。 アトピー性皮膚炎を治療する時にはこの皮膚糸状菌症がないかを最初に検査します。 アトピー性皮膚炎の治療でステロイドを使いますが皮膚糸状菌の感染もある場合に ステロイドを使うと治療に時間がかかってしまう場合があるからです。

一見感染していないように見えて免疫の状態が悪くなったりストレスがかかると症状が 出てくる場合もあります。

いぬさんやねこさんの耳や指の毛が抜けた時には皮膚糸状菌症の可能性があります。


2016年8月

リオデジャネイロ オリンピックが始まりました。日本の選手の活躍はすばらしく今までの オリンピック以上に金メダルを獲得しています。女子のレスリングは決勝戦の最後の最後で大逆転で 金メダルを獲る選手が続出し吉田沙保里選手にも当然金メダルの期待が膨らみました。結果は銀メダル で表彰式でも申し訳なさそうにお詫びをするような涙の表彰式でした。お母さんに抱きつきながら 「(亡くなった)お父さんに怒られる」と言っていました。そんなことないお父さんはきっと褒めてくれ るなどと思いながら見ていました。

最近オリンピックを見ていると勝った選手は会場の中に家族を探して抱き合ったりガッツポーズを しているのをよく見ます。自分が20代のころ何かうれしいことがあった時、一番最初に家族に その気持ちを伝えようとは思わなかったと思います。照れ臭さもありますが家族を一番に思うことが できなかった自分にとって今の若い人たちがうらやましいと感じました。 そして家族を素直に一番と思える若い人たちはすばらしいと思います。


2016年7月

今回はいぬさんの胃拡張・胃捻転症候群という病気についてお話します。

この病気はグレート・デン、セント・バーナード、ジャーマン・シェパードなど大型犬で胸が深い いぬさんにおこりやすい病気です。ダックスフンドなど小型犬でもおこる場合があります。 よだれがたくさん出たり、吐きそうなのに吐けない、苦しそうでうろうろしている、ショック状態に なっているなどの症状がでます。お腹が膨らんでいるのが目で見てわかる場合もあります。

原因はまだわかっていません。何らかの原因で胃がねじれてしまい、ガスがたまってしまって大きく なった胃が血管を圧迫して血液が心臓に戻れなくなったり、すい臓を圧迫してショック状態になって しまいます。胃がねじれることで胃に血液が行かなくなって胃が壊死してしまうことがあり 胃の内容がお腹の中に漏れて炎症やショックを起こしてしまいます。

胃拡張・胃捻転症候群が起きた場合まず胃の中のガスを抜くことをします。その後ショックや不整脈を 治す治療をします。そして胃を元に戻したり再発を防止する手術をします。

治療をしても致死率は高く25~45%と言われています。この病気にならないようにするためには1回 のエサの量をへらして回数を増やす、ドライフードは水でふやかしてから与える、食後の運動は避 けるようにします。よくある病気ではありませんが大型犬とダックスフンドはおきる可能性がある病気 で注意が必要です。


2016年6月

今回はいぬさんの炎症性腸炎についてお話します。

この病気はいぬさんの胃や腸に原因不明の慢性炎症をおこして下痢や嘔吐、食欲不振などが3週間以上 続く病気です。下痢や嘔吐をする他の病気として、すい臓やホルモンの病気、腫瘍、腸の閉塞などが ないか、感染症がないかなどを調べほかに問題がない場合、総合的に判断して炎症性腸炎と診断します。

えさを変更したり抗菌剤を使ったりすると一時的によくなりますがその後また下痢や嘔吐がみられるように なります。ステロイドや免疫抑制剤を使うと下痢や嘔吐がとまります。

しかしステロイドや免疫抑制剤を使っても下痢や嘔吐の症状が再発してしまういぬさんもいます。 特にシバ犬にはしばしば見られます。大学の研究ではリンパ球クローナリティという検査があり、 シバ犬で炎症性腸炎があってその検査が陽性だった場合予後不良であることが多いという発表が ありました。

そして予後不良だったシバ犬について、非常に似た症状がおきる消化管型リンパ腫という病気があり 炎症性腸炎ではなく消化管型リンパ腫だった可能性と、もともと炎症性腸炎だったものが 消化管型リンパ腫に変わってしまったという両方の可能性がありそれによって予後不良になって しまうことが考えらると報告されています。

わからないことが多い病気で治療もすべてできる病気ではありませんが今までよりよく見る病気です。 いろいろな研究によってもっと治すことができる病気になると思います。新しいことがわかった時には またお話します。


2016年5月

今回はひとから見た狂犬病についてお話します。

ひとは主に動物に咬まれて狂犬病になります。世界では毎年4~5万人のひとが狂犬病で 死亡しています。1954年以降日本国内で狂犬病に感染したという報告はありません。 日本国内で感染したわけではありませんが2006年にフィリピンから帰国後日本で 狂犬病を発症したひとがいました。

ひとは主に動物に咬まれることで狂犬病のウイルスが体に入り(感染して)、その後 10日から数ヶ月の潜伏期があります。その後熱や倦怠感、興奮やケイレン、水を 飲むことが出来ないなどの症状がでます。水を飲むことができないので狂水症とも 呼ばれています。そして症状がでると治療をしても100%死亡していまいます。

狂犬病に感染している動物に咬まれた場合、症状が出る前の治療として日本では5~6回の ワクチン接種をします。WHOは免疫グロブリンも一緒に使うことを勧めていますが日本で 入手することができません。海外に行っていぬさん等に咬まれた場合は、その時の状況と 検査の結果によってワクチンを打つか決められます。

狂犬病は症状がでたら100%死亡する恐ろしい病気です。海外に出かける際は いぬさんやねこさん、野生の動物に気軽に接触しないことが大切です。


2016年4月

今回と次回は狂犬病の話をします。

狂犬病はいぬさんだけの病気と思われやすいですが哺乳類すべてがかかる病気です。 ひとやいぬさんやねこさんはもちろんですがコウモリやくじらも哺乳類ですから狂犬病にかかります。 狂犬病にかかったいぬさんの報告は世界中にありますが日本・イギリス・北欧・オーストラリア・ ニュージーランドでは近年報告がありません。特に日本では1956年以降報告がありません。

これは毎年の予防注射によるものと輸入動物の検疫によって発症が抑えられているからと考えられます。 しかし今の状態でもいぬさん以外の検疫されていない動物から日本に狂犬病が入る可能性は十分あると 思います。

狂犬病はウイルスの病気で咬まれたり傷口や粘膜をなめられたりすることでかかります。 いぬさんが狂犬病にかかってから症状がでるまでの潜伏期間は10日から数ヶ月といわれています。 症状は食欲不振や発熱があってそのあとに飲み込みがうまくできなくなったり、おとなしい性格が 攻撃的になったり逆に攻撃的な性格がおとなしくなったり、刺激に過敏になったりします。 これらの症状がでると数時間から1週間で100%のいぬさんが亡くなってしまいます。 本当に怖い病気です。

私たちがいぬさんが狂犬病にかかっているかを診断する時まずは狂犬病の予防注射をしてあるかを 調べますが、それ以外には出生地や過去2年間の生活していた場所、輸入された動物や野生動物と 接触がなかったかを確認します。もし狂犬病の可能性があれば保健所に届けでてそのいぬさんを 隔離しなければいけません。狂犬病は何となく過去の病気のように思われがちですがほとんどの国では いぬさんもひとも感染が現在もあります。

次回はひとからみた狂犬病についてお話します。


2016年3月

東日本大震災から5年が経ちました。その後も大きな地震があったり火山が噴火しています。

いろいろな科学者の話をきいていると地震の予知はまだまだ難しいというのが現状ではないかと思います。 古文書などからいつ、どの地域に、どのくらいの地震がきたかということが調べられて、何百年と いうような周期で繰り返し地震がくるということはわかってきているので、いろいろな地域でそろそろ 注意しなければいけない時期に入っているということはわかってきたと思います。

ただ数日後とか数週間後というような近い未来に地震がせまっているかを科学的に証明することは まだ難しいことだと思います。

飼い主さんに「うちの犬は松本で震度5強の地震があってから、地震がある1日前くらい から落ち着きがなくなるようになった」ということを聞いたことがあります。大学でもいろいろな動物が 地震の前にいつもと違う行動をとることを調べています。そういうデーターがたくさんそろってくれば 近い未来の地震予測につながる研究になるかもしれません。

人間にはなく他の動物が持つ能力にはある程度の可能性があると期待していいと思います。


2016年2月

いぬにもインフルエンザってありますか?

時々飼い主さんから聞かれることですが、はっきりしたことがわからず きちんとした報告があったらお話しますと答えていました。最近いぬさんのインフルエンザについての報告が ありましたのでお話します。

いぬさんのインフルエンザは2種類あり、もともと馬と鳥のインフルエンザが形を変えていぬさんに 感染できるウイルスになったということ。どちらのウイルスもアメリカで流行が確認されていますが
  日本での発生はいまのところないということ。
  ねこさんに感染する可能性があるということ。
  症状はヒトのインフルエンザと同じで発熱・セキ・鼻水・食欲不振でまれに重症の肺炎をおこす
ということです。

ほとんどのいぬさんねこさんは免疫を持っていないので国内に入ってくれば 流行は拡大することが考えられます。致死率は1~8%です。とりあえずウイルスがまた形を変えたり、 ほかのタイプのウイルスが出現しなければ今の時点では必要以上に心配しなくてもよさそうです。


2016年1月

今年ももうすぐ終わりになります。私は今53歳になりますが1年が短く感じられます。1歳のひとに とって1年は1分の1ですが私にとって1年は53分の1ですから短く感じるのは当然かもしれません。

今年もいろいろな出来事がありました。口永良部島の新岳や箱根山などの火山活動が活発化したり 大雨で鬼怒川の堤防が決壊しました。12月なのにうめやさくらが咲いたりしています。いままで なかったことですが朝のニュースを見る時、今日はまた何か大きなことがおこっていないだろうか などと思いながらテレビをつけてしまいます。

明るいニュースがあまりなくて残念ですがエバーメクチンを発見した大村さんやニュートリノ線に 質量があることを証明した梶田さんがノーベル賞を受賞されたことは同じ日本人として誇らしい 気持ちになりました。

来年はもっと楽しいことやうれしいことがあるように、また診察は飼い主さんの話をしっかり聞いて きちんとした仕事をして飼い主さんもいぬさんやねこさんも楽しくいられるよにしたいと思います。 来年もよろしくお願いします。

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2015年12月

今回は口腔ケアの話をします。

口の中をきれいにすることは口の中の悪玉菌を減らすことです。悪玉菌が増えると糖尿病や心臓の病気 (心内膜炎)、腎臓病などをおこします。ひとではガンの手術をした患者さんに手術をしたあとに きちんと口腔ケアをした場合、そうでない場合より退院するまでの日数が短くなったという報告もあり、 他にも体に良い影響があると考えられます。

口腔ケアの最善の方法は歯ブラシだと思います。しかし歯ブラシはひとでもきちんとできない場合が多く 口腔ケアができずに歯石がついて歯周病を起こしてしまうことがよくあります。

いぬさんやねこさんできちんとした歯ブラシをして口腔ケアをするのは本当にむずかしいことです。 できるだけ歯ブラシはやっていただきたいと思いますが、数年前から口の中にもともといる善玉菌の サプリメントができました。この善玉菌は口の中で悪玉菌の数を減らすことができ口腔ケアができます。 粉状のサプリメントなので歯ブラシができる場合は歯ブラシのあとに歯茎にぬってもらっています。 歯ブラシができない場合はえさにかけてもらっています。飼い主さんは口の臭いが減ったとよろこばれています。

口の臭いが減ったということは口腔ケアがある程度できているということです。いろいろな病気を予防 することができ口の臭いも気にならなくなる、いいことばかりなので口腔ケアに関してもっと飼い主さんに お勧めしていこうと思っています。


2015年11月

今年のノーベル医学生理学賞を 大村 智 北里大学特別栄誉教授が受賞されました。土のなか にいる微生物が自分を守るために作り出したエバーメクチンという物質が、牛や豚の寄生虫を駆 除することがわかり、ヒトでは失明を招くオンコセルカ症や足がぱんぱんに腫れてしまう象皮症 という感染症にも効果があることを発見しました。

大村教授はその発見したエバーメクチンという薬を無償で提供してオンコセルカ症や象皮症に 悩む多くのヒトを救いました。大村教授は微生物がいいことをやってくれているのを頂こうと いうだけで自分が偉い仕事をしたとは思っていない。何か一つでもヒトのためになることが できないかいつも考えてきたとコメントされていました。自分のためではなくヒトのために 仕事をしてきた大村教授がノーベル賞を受賞できたのは本当にすばらしいことだと思います。

エバーメクチンは一ヶ月に1回いぬさんが飲めばフィラリアに感染しません。実はいぬさんの フィラリア予防の薬とはエバーメクチンなのです。大村教授が発見されたエバーメクチンはヒトや 牛や豚だけでなくいぬさんのフィラリア症を予防できる薬でもあるのです。


2015年10月

夏は嘔吐や下痢などの消化器症状が出やすい時期です。

ふつうは単純な胃腸炎をおこしていることが多いですが異物による腸閉塞がおきている場合があります。 仲間の先生の言っていた言葉を借りると夏の風物詩だそうですが、とうもろこしと桃は夏に よくみられる腸閉塞の原因です。

とうもろこしは先の細い部分だとそれほど大きな塊ではありません。 しかし黄色の食べられる部分はあまり多くなく、残った芯の部分は噛み切れないのでいぬさんは そのまま飲み込んでしまうことがほとんどだと思われます。飲み込んでしまったとうもろこしの芯は 胃でほとんど消化されずに腸に移動します。腸は胃のように大きなものが通ることができないのと、 とうもろこしの芯はつるっとしていないので腸のなかでひっかかりやすいのではないかと考えています。

桃も同じようにタネが結構大きくて胃で消化されることはなくタネの表面がつるっとしていないので 腸閉塞をおこしやすいのではないかと思います。腸閉塞をおこせば非常に危険な状態になることも多く 閉塞した異物を手術で摘出しなければいけません。

夏とうもろこしを食べている時、いぬさんが欲しそうな顔をしているのでそんなに大きくないから 大丈夫だろうと、先のところをちょっとあげようなどと思わないようにして下さい。


2015年8月

今回はいぬさんの膵炎についてお話します。いぬさんが吐いたり下痢をしている時まず最初に疑う病気は 胃腸炎です。同じような症状ですが吐いたり下痢が長く続いたり、血を吐いたり血便になったり 黄疸がでたりした場合、膵炎を疑います。

今まで膵炎は1つの検査で診断がつかなかったのでいくつかの検査を組み合わせて複合的に 膵炎を診断していました。数年前から検査センターに送ると膵炎の検査ができるようになり、 その後病院内でも検査ができるようになりました。吐いたり下痢をしているいぬさんで 今までだったら胃腸炎と診断していたと考えられる病気も検査で膵炎と診断できる場合が あることがわかってきました。膵炎は重症化していけば命にかかわる怖い病気です。 病気がひどくなってから診断するのと早いうちから診断ができるのでは膵炎の治療に入る タイミングが違ってきますので、早く診断ができれば救命率をあげることができると感じています。

いぬさんの膵炎がおきる原因は中性脂肪の多いえさやおやつを食べること、カルシュウムを多く与え ることなどがあります。膵炎の診断がついてから飼い主さんが、実は中性脂肪の多いおやつをあ げてました、と話されることもありました。またミニチュア・シュナウザーやイングリッシュ・コッカー・ス パニエルは遺伝的に罹りやすいといわれていますので早めに検査をして膵炎を起こしていないか 検査できるようになりました。新しい検査ができるようになって助けられる命がいままでより少し増え ていくと思っています。


2015年7月

今回はいぬさんの心臓の病気で一番多く見られる僧帽弁閉鎖不全という病気についてお話します。

血液は全身のいろいろな臓器から心臓に戻りますが、最初に入るのは右の心臓です。その後、 肺に送られて酸素をもらい、次に左の心臓に入り、そのあとまた全身の臓器に送られています。

心臓の病気は右の心臓が悪くなるのと左の心臓が悪くなる場合で違いがあり僧帽弁閉鎖不全は左 の心臓が悪くなる病気です。左の心臓には左心房と左心室という2つの部屋がありその2つの部 屋の間にフタついていてそのフタを僧帽弁といいます。肺で酸素をもらった血液は左の心臓に 入ってその後全身に送られますがその時僧帽弁は閉まって血液が逆流しないようにしています。 僧帽弁は年齢とともに変性してしまうことがあり、きちんと閉まることができなくなって血液が逆流し てしまうことがあります。この状態が僧帽弁閉鎖不全です。 症状は疲れやすくなる、散歩をいやがる、セキがでる、興奮した時に倒れる、などがあります。

治療は心臓がしっかり又は無理なく血液を送れるようにしたり、血圧を下げたり、肺に水が 貯まらないないようにする薬などを心臓の状態によって組み合わせて飲んでいただきます。 根本的な治療は紹介という形になりますが大学病院などの専門医による僧帽弁の交換をする手術になります。 6・7歳位から散歩をいやがるようになったりセキがでるようなことがあれば僧帽弁閉鎖不全をおこしている可能性があります。 キャバリアのいぬさんだけはもっと若い年齢から注意が必要です。


2015年6月

今までにも何度かお話してきましたが、いぬさんについたマダニを駆除するくすりにはいろいろな 種類があります。投与のしかたで分けると、首に塗るタイプとくすりを飲むタイプです。

もともとマダニを駆除する目的はマダニがいぬさんにつかないようにするということと、マダニが血を吸う時に 感染する病気を予防するという2つがあります。飲み薬と、ほとんどの首に塗る薬はマダニがいぬさんの 血を吸ってから駆除するタイプなので、マダニがいぬさんにずっとつかないようにはできますが感染を 予防することはできません。

首に塗るタイプのなかにはマダニが寄ってこないものがあります。 このタイプだとマダニがいぬさんにつかないようにすることも感染を予防することも両方が可能 になります。ただこのくすりはきちんとした効果をだすために首に塗ってから2週間シャンプーがで きません。アトピーなどで2週間より短い間隔でシャンプーが必要ないぬさんは首に塗る違うくすり を使います。

また首にくすりを塗ることをいやがるいぬさんは飲むくすりを使います。当院ではいぬさんのもっている 病気や性格によってはできない場合がありますが、原則としてマダニがいぬさんにつかないように することとマダニが血を吸うことによる感染を防ぐという両方のためにマダニの駆除をしています。


2015年5月

今回はいぬさんやねこさんの種類によっておきやすい病気についてお話します。

最近はいぬさんやねこさんを飼うためにペットショップやブリーダーなどで買われることがほとんどなので、 いろいろな血統が混ざった雑種より純血種のほうが多くなっています。純血種は父方と母方が近い関係で 交配されることもあり(それがすべてではないと考えられますが)遺伝的にまたは体型などからなり やすい病気があります。

たとえばラブラドール・レトリバーの股関節形成不全。ゴールデン・レトリバーの心筋症や甲状腺の ホルモンが出にくい病気、リンパ腫、皮膚がただれるホットスポットなど。ダックスフントは 椎間板ヘルニア、耳の毛が抜けるパターン脱毛、眼の網膜が萎縮する病気、ダッフルの毛色のいぬさんの 難聴などがあります。キャバリアの心臓弁膜症、血小板減少症。シーズーの皮膚疾患、難治性角膜潰瘍。 シュナウザーの胆石や膵炎。ねこさんではアメリカン・ショートヘアーの心筋症、 スコティッシュ・フォールドの関節症、メイン・クーンの股関節形成不全などがあります。

おなじ血統でもすべてのいぬさんやねこさんがこれらの病気になるわけではありません。 ほかの犬種・猫種にくらべると病気になる確率が高いということです。飼われているいぬさんねこさんが 罹りやすい病気を知っておくことは大切なことだと思います。来院された時などいつでもお尋ねください。


2015年4月

今回はいぬさんの子宮蓄膿症についてお話します。

1年に2回位めすいぬさんは陰部から出血がありその状態を発情といいます。 発情の出血が始まって10日目くらいに交尾または交配すると妊娠する可能性があります。 いぬさんの妊娠期間は約2ヶ月です。その期間は妊娠を維持するために黄体ホルモンがでています。 妊娠していなくても黄体ホルモンがずっとでていることがありその状態が続いていると、子宮や 膣のなかにもともといる細菌が増えて膿が子宮のなかにたまってしまうのが子宮蓄膿症です。

お水をたくさん飲むようになっておしっこもたくさん出るようになります。元気や食欲がなくなって 吐いたりすることがあります。陰部からは膿が出る場合と出ない場合があり、出ない場合のほうが状態が 悪くなります。子宮のなかにたくさんの細菌がいますから血液のなかも細菌がたくさんいる状態になって、 体の免疫が菌に負けている状態になったり(敗血症)、菌が出した毒素によってショック状態になったり (エンドトキシンショック)、体のいろいろな場所から出血しやすい状態(DIC)になることもあります。

元気があればその時点ではそんなに危険な状態ではありませんが、急に敗血症やエンドトキシンショックを おこしてDICになってしまうことがあるので常に状態が変わっていないか注意深く見ていくことが必要です。

基本的には病態をみながら抗生物質や輸液などの治療をして全体の状態をよくして子宮を摘出する手術をします。 状態がよくならない場合や高齢で麻酔をかけられない場合は黄体ホルモンが作用しないようにする治療を することもあります。この病気は6歳くらいからおきやすくなる病気です。

いぬさんは高齢になっても発情はありますので年齢があがるほど危険性が高くなります。 中年以上のめすいぬさんが元気がなくてお水をよく飲むようなことがあったらまず最初に疑わなければいけない病気です。


2015年3月

今回はねこさんの甲状腺機能亢進症についてお話します。

この病気は高齢のねこさんにみられる病気で13歳で18%のねこさんが罹っているという 報告があります。普通にえさを食べているのに痩せてきたというのが典型的な症状です。

この病気になるとねこさんの体の中では甲状腺ホルモンがたくさん出ていて、いつでも運動して いるような状態になって心拍数が高くドキドキしています。 お水をたくさん飲んでおしっこをたくさんしたり、吐いたり下痢をしたり、異常に毛づくろいをして毛 がもつれたりすることもあります。

血液を採ってホルモンの量を測ったり首のところにある甲状腺の大きさをみたりして診断します。 治療は甲状腺をとる手術や甲状腺ホルモンを作らせなくする薬の内服です。甲状腺ホルモンを作るのに 必要なヨードを制限したエサを使ってみることもあります。 甲状腺機能亢進症を治療していくなかで気をつけなけれいけないのは心臓の筋肉が疲労しない ようにすることと、この病気を治療していると隠れていた腎不全が症状を出すことがあるので腎臓の 状態をきちんとみていくことです。

高齢のねこさんを飼っている飼い主さんが ウチのねこ痩せてきたけどもう年かねー  と聞かれることがありますが甲状腺機能亢進症という病気がおきている場合があります。


2015年2月

今回はいぬさんの突発性前庭疾患についてお話します。

高齢ないぬさんが首を傾けてフラフラしたり転んでしまうことがあります。 たくさんの原因が考えられますが最初に疑えるのが高齢犬の突発性前庭疾患です。 前庭というのは耳の奥にあって体の平衡バランスをとる働きをしています。高齢になると 前庭に何らかの障害がおきることがあり原因ははっきりしていませんが障害がおきた側に首が 傾いてしまいます。まっすぐ歩こうとしても傾いた側に回ってしまい転んでしまうこともあります。 眼は規則的に揺れる眼振をおこしています。いぬさんは船酔い状態なので気持ちが悪くなって吐 いてしまうこともあります。眼の揺れは2~3日くらいで自然に治ります。首の傾きも2週間くらいで 徐々に治っていきます。吐くのが続いてえさが食べられない時は吐くのを止める治療をします。

このような症状がでたらびっくりされると思いますが突発性前庭疾患であればそれほど心配な病気 ではありません。しかし首の傾きが長く続く場合は他の病気の可能性もあります。特に他の脳の病 気がないかを調べる必要があります。高齢ないぬさんの首が傾いた時は突発性前庭疾患がまず 最初に考えられてほとんど心配する病気ではありませんが突発性前庭疾患でない場合は注意を しなければいけません。


2015年1月

2014年ももうすぐ終わりになります。

今年は雪の置き場がなく駐車場から車をだすことすらできない大雪から始まり、夏はいつもより早い時期から大きな台風が何度も来て、夕立のような勢いの雨が半日以上も長く続いて木曽や広島では土石流が発生し何人もの方が亡くなられました。9月には御嶽山が噴火し11月には白馬村付近を震源とした震度6弱の地震がありました。

想定外のことが非常に多くなっている気がします。ただこれからはそれを想定の範囲と考えなければいけないと思います。

暗い話が多くなりましたが松本山雅がJ1に昇格したりうれしい話題もありました。自然災害は起きる可能性の想定範囲を広くして考えられる備えをし、来年はきっといいことがたくさんあるだろうと楽しみにしながら2015年を迎えたいと思います。

今年もお世話になりました。皆様良いお年をお迎えください。

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2014年12月

今回はやわらかい話や硬い話をします。便の話です。

いぬさんねこさんの健康状態をみることの1つとして便の状態を見ることは大切なことです。 ひとに比べいぬさんやねこさんはいつでも同じものを食べているので便の状態は変わりにくく、 いつもと違った便がでれば何か異常があるということを考えなければいけません。

普通いぬさんの正常な便は黄土色でフローリングなどでした便は紙で普通に取ることができて フローリングに便が残らない位の硬さです。ねこさんはいぬさんより黒っぽくもう少し固めの便です。 かりんとうのような感じです。においはエサによって結構違いがあり、いつものにおいを覚えて いただくことが大切だと思います。便の色、かたさ、においがいつもと同じかどうかを気にして みて下さい。

たとえばいつもより明るい色の便がでる場合すい臓からでる消化酵素が少ない、肝臓が悪くなって いることがあります。いつもより黒い便がでる場合は胃や胃に近い腸で出血している場合があります。 便がいつもより硬い時は便秘や腸に腫瘍などがあって便がでにくい状態になっていたり、 エサの量が少ない場合などがあります。便がやわらかい時は水っぽく量が多い場合(小腸の炎症)と 量が少なくて何回も排便してゼリーみたいなものや鮮血がつく場合(大腸の炎症)などがあります。 においはいつもと比べて酸っぱいにおいがしたり(脂肪を吸収しにくくなっている場合)や 腐ったにおいがする(腸がひどい炎症をおこしている場合)ことなどがあります。

便のいつもの状態をきちんと把握していただくことができれば、いつもと違う便がでた時、 ひどくなる前に治療することができ早くに元気することができことがあります。 日ごろから便の状態を気にしてみることを心がけてください。


2014年11月

今回は外に出るねこさんの予防についてお話します。

飼い主さんとリードにつながれて散歩にでるいぬさんが他のいぬさんと濃厚に接触する機会は そんなにないと考えられますが、ねこさんが外に出る場合は他のねこさんとの接触する機会が多くあり、 帰ってきた時お互いになめあっていたり(グルーミング)けんかをして噛みつかれたりしている 可能性があります。

お互いにグルーミングしあったり、噛みつかれたりすることでうつる病気として猫白血病 ウイルス感染症猫エイズウイルス感染症があります。

めす猫さんはおす猫さんよりけんかは少ないですが、交尾をする時おす猫さんがめす猫さんの首を かみますのでめす猫さんも感染する可能性があります。全国的にはねこさんの10パーセント以上が 猫エイズウイルスに感染しています。松本で以前調べた時はもっと高い確率で猫エイズウイルスの感染が 認められました。

猫白血病ウイルスの感染はエイズウイルスに比べると低い確立ですが当院から松本駅にかけて 感染率が高い地域があります。ねこさんが外に出て帰宅した時にはこのような2つの病気を もらっている可能性があります。

昨年まで猫エイズウイルス感染症のワクチンが一時的に日本に 輸入されなくなっていましたが今はワクチンが輸入されるようになりました。また猫白血病ウイルス 感染症のワクチンは以前からありますので、外に出るねこさんや子供の時は外に出なかったけれど 大人になったら外に出るようになったねこさんを飼われている場合は白血病とエイズのワクチンを 受けていただくことをお勧めします。


2014年10月

今回は前回の続きで猫さんの慢性腎不全についてお話します。

腎臓は血液のろ過(原尿を作るともいいます)と水の再吸収を行っています。 血液の中にある老廃物を出してその中の水をくみ直して尿を作っています。 その働きをしているところをネフロンといいます。慢性腎不全はそのネフロンが徐々に 壊れていく病気です。

前回お話しましたが慢性腎不全の症状が出ている場合60パーセント以上のネフロンが 壊れています。ネフロンが壊れると残っているネフロンで同じだけろ過できるように ネフロンに圧力をかけて血液を送り込もうとします。そのことにより尿にたんぱく質が 出るようになり、腎臓だけではなく全身の状態として高血圧になります。そして尿にたんぱく質が 出ることと高血圧の状態はさらにネフロンを壊すことになります。

高血圧を治すくすりのなかで(ARBというくすりは)腎臓の血圧を下げ、尿にたんぱく質が 出るのを減らす働きがあります。今までもACEIという血圧を下げる薬がありましたが 薬が作用する場所に違いがありARBの方が効果が期待できます。

慢性腎不全の治療はエサの変更、老廃物を吸着するパウダー、輸液などを組み合わせてやって いきます。慢性腎不全は今の時点では残念ながら治すことができない病気ですから病気の進み方を ゆっくりにできる可能性があるARBはこれからの慢性腎不全の大切な治療の1つになるかも しれないと期待しています。


2014年9月

今回はねこさんの慢性腎不全についてお話します。

ねこさんの腎臓は年齢とともに悪くなることがおおく15歳を過ぎると3匹に1匹は腎臓が 悪くなるという報告があります。腎臓のなかで悪くなる場所がいくつかあるので 全部をまとめて腎不全といいます。また腎不全はゆっくり進むことが多くそのような場合を 慢性腎不全といいます。

食欲がなくなる、体重が減る、吐く、お水をたくさん飲む、おしっこがたくさんでる、 などの症状がでます。血液でBUN とクレアチニンという検査をします。これらの数値が 正常値をこえている場合は腎臓の60パーセント以上がダメージをうけています。他に は尿の重さ(比重)やタンパクの量をみたり、血圧をみたりして治療をしていきます。

治療は食事の変更(ある程度タンパクを制限したり、リンを減らしたりビタミンを増やしたりします)や 老廃物を吸着するパウダーを食事にまぜてもらったり、輸液をしたりします。 慢性腎不全は残念ながら完治する病気ではありません。ゆっくり進んでいく病気なので その進み方をもっとゆっくりにしていくことを目的に治療していきます。

お話した治療以外にも組み合わせてやっていく治療がありますので次回また続きをお話します。


2014年8月

以前人がダニに咬まれて、血小板が減ったり吐いたり下痢をするなどの症状がでるSFTS(重症 熱性血小板減少症)という病気が中国でおきていて、日本でもいくつか報告があるというお話をし ました。先ごろ日本でのSFTSの調査の報告がありました。

遺伝子診断により中国のSFTSと日本のSFTSの原因となるウイルスは別のタイプで、もともと日本に いたウイルスだということ。
ウイルスは親のダニから子のダニに伝播されるか、ウイルスに感染している人や動物の血液をダニが 吸うことで伝播されていくということ。
日本中長野県も含めどこでもダニには5~15%の確立でウイルスがいるということ。
日本でSFTSを発症した人は近畿より西南の15県で長野県での報告はないということ。
人はダニに血を吸われてSFTSになるということ。
報告があったなかでは人の致死率は33%だったということ。
非常にまれですが中国では人から人にうつった例があるということ。
今の時点ではいぬさんから人にうつったことはないということ。
日本にいるいぬさんでSFTSのウイルスの抗体が陽性のいぬさんがいたということ(ウイルスに感染 したが症状はでなかったということ)。

今回は以上のような報告がありました。これからもたくさんの報告があると思います。これからの報告 によっては今は正しいとされていることが間違いになる場合もあると思います。特にいぬさんが SFTSに感染した時本当に症状がでないのか、本当にいぬさんから人に感染しないのかということ に関してはこれからも注意深く調べていく必要があります。


2014年7月

農林水産省が569人の飼い主さんに「 良い獣医師とは何か」 を11の選択肢の中から3つ選んで いただく形で調査しました。11の選択肢を多かった順にならべると

  1. 病気や治療法についてよく説明してくれる
  2. 動物・ペットの症状をよく聞いてくれる
  3. 専門性の高い知識や技術を習得している
  4. 多くの症例の経験がある
  5. 飼い主の要望をよく受け入れてくれる
  6. 最先端の診療技術を習得している
  7. 親しみやすい
  8. 飼い主との優れたコミュニケーション能力
  9. 地域社会に密着し、社会活動に貢献
  10. 有名な大学の出身である
  11. 多くの論文を発表し、学会に積極参加

という順番でした。とくに1位と2位の、病気や治療法についてよく説明してくれる、動物・ペットの 症状をよく聞いてくれる、は飼い主さんの7割近くが選ばれています。一方多くの獣医師の考える 良い獣医師は、6位と3位の最先端の診療技術を習得している、専門性の高い知識や技術を習得 している、が上位でした。飼い主さんと獣医師では考え方が違うということがわかります。

獣医師は病気を治すために何が必要かということからの結果だと思いますが、飼い主さんにきちんと説明が でき、話をよく聞くことは病気を治すために必要なことです。突き詰めていけば飼い主さんも獣医師も 考えていることは同じだと思いますが、飼い主さんの気持ちを考えずひとりよがりの診察や治療をする 獣医師ではいけないと思いました。


2014年6月

今回はねこさんのパルボウイルス感染症についてお話します。

最近松本市とその周辺でねこさんのパルボウイルス感染症の報告がいくつかありました。 以前いぬさんのパルボウイルス感染症についてお話しましたが、ねこさんの パルボウイルス感染症もほとんどが感染したねこさんの便のなかにいるウイルスを介してうつります。 パルボウイルスにかかってしまったねこさんは突然元気や食欲がなくなって、吐いたり下痢を したりします。生後3ヶ月未満のねこさんは心筋症という症状がでて突然死してしまう場合も あります。

パルボウイルスに感染しないようにするためにはワクチンの接種が大切です。 またパルボウイルスは普通の消毒では効果がなく、ねこさんの便のなかで2~3年生きる ことができます。リードをつけて散歩するいぬさんより外で自由にいられるねこさんが、ワクチン 接種がされていないで外に出ることは感染の可能性が十分に考えられることです。飼っているねこ さんが外に出るようであればワクチン接種されることををおすすめします。


2014年5月

4月12日に熊本で鳥インフルエンザの感染が確認されたというニュースがありました。 鳥インフルエンザは鳥から鳥にうつる病気ですが鳥に濃厚に接する機会がある人にごくまれに感染する場合 があります。実際に中国では人が鳥インフルエンザに感染して死亡するということがありました。 また今まで鳥インフルエンザにかかった人から他の人に感染することはありませんでした。

ところが人に感染した鳥インフルエンザウイルスは人から人へ感染できるように形を変えることができるよう に変わってきました。人から人に感染することができれば人はこのウイルスの免疫をもっていないので、 ものすごい勢いでものすごくたくさんの人が感染する可能性があります。

中国では人から人の感染が認められましたが、その時は運よく数人の感染で終息しました。 鳥インフルエンザの鳥への感染が報告されればその後の大勢の人への感染を考えなければいけないことです。

今回熊本の感染は4月28日現在新しい報告はありません。4月12日の感染が報告されてから熊本県の職員など 関係者が3日間徹夜で作業して新しい感染がおきないようにしてくれたのです。感染が拡大すれば 大変なことでしたが関係者のおかげでおおきな問題にならずに済みました。ニュースでは 感染したことの報道は大きくされていますが、徹夜で仕事をしてくれたことや大きな感染を防げたことは あまり報道されていません。寝ないで頑張ってくれた熊本県の職員や関係者に感謝したいと思います。


2014年4月

今回はいぬさんの膝蓋骨脱臼についてお話します。膝蓋骨というのはヒザのお皿のことです。 お皿の下には溝があって正常な時お皿は溝の上を動いてヒザを曲げたり伸ばしたりしやすくしています。 お皿が溝を外れてしまうのが膝蓋骨脱臼です。

小型犬は内側に大型犬は外側に外れやすく、外れるとケンケンして足を地面につかなくなってしまいます。 外れ方にはグレードがあります。普通は脱臼していないけれど指で押すと脱臼する、歩いていると時々脱臼する、 ほとんど脱臼している、いつも脱臼していて元にもどらない、というような順に徐々にグレードが高くなっていく場合 があります。

脱臼してもすぐに戻ってケンケンしないようなグレードが低い場合は消炎剤を飲んでもらって様子をみます。 もし肥満ぎみであればダイエットをしていただたり、パッドのまわりの毛を伸びないようにカットしたり、 フローリングなどですべりやすいところにいる場合はマットを使ってすべりにくいようにしていただきます。 脱臼が戻らずずっとケンケンしているようなグレードが高い場合は手術が必要になります。 手術はいぬさんの大きさ、体重、脱臼の重篤度などによって方法がかわります。

散歩でケンケンすることがあればいつもは普通に歩くことができてもて来院されたときなどにご相談ください。


2014年3月

ソチオリンピックが終わりました。葛西選手の団体戦でみせた涙、いままで全く知りませんでしたが 竹内智香選手の緻密な目標設定と予定どおりの銀メダル獲得、浅田真央選手のショートプログラム から巻き返してフリープログラムを滑りきったあと天を見上げて流した涙、と幾度も感動させてもらい ました。

そのなかで上村愛子選手の滑り終わって流したすがすがしい涙は本当にすばらしいと思いました。 高校生の時からオリンピックにずっと出場して前回オリンピックが終わったあと「(7位6位5位4位と) 何でこんなに一段一段なんだろう」とコメントしていて、今度こそというのと今回が最後、という 気持ちで望んだオリンピックだと言われていたので、何とかメダルを取ってほしいと思いながら 応援していました。

結果は4位でメダルは取れませんでしたが自分でやろうとしたことを全部やりきれてすがすがしい 顔で流した涙が本当にすばらしいと思いました。上村選手は本当にすばらしいアスリートだと思います。

そしてオリンピックに出場された選手の皆さまおつかれさまでした。本当にいくつもの感動をありがとう!


2014年2月

知り合いに招待券をいただいて信州ブレイブウォリアーズというバスケットチームの試合を見にいきました。

日本では大きく分けてNBL とBJ リーグという2つのリーグがあります。信州ブレイブウォリアーズは BJ リーグに所属しているチームです。個人的にはBJ リーグはあまり真剣さが感じられなく、 見せ物っぽくダンクなど派手なプレーを見せるというイメージをもっていました。バスケットは 一生懸命ディフェンスをがんばって、最期まで足を止めないでゲームを作って、シーソーゲームを 僅差で勝つものだと思っているのであまり興味がありませんでした。

今回はコーチが変わってから結構勝ち星をあげて強くなったブレイブウォリアーズに すこし興味があり松本の試合でもあったので行ってみました。

体育館に入るとバスケットシューズのキュキュ・キュキュという音が聞こえてきます。 否応なしにテンションがあがります。ブースターと言われる応援団がたくさんいてチームカラー の黄色いTシャツを着て一体感のある応援をしています。私も自然にブースターの一人になって いきます。ゲームも見せ物や格好つけのバスケットではなく、小中高生が負けたら終わりの試合を やるように一所懸命プレーしていました。地元出身で最近出番の少なかった宇都宮選手が今期 初の3ポイントシュートを決めた時の会場の盛り上がりはすごいものがありました。試合が終わった あとも会場で感じた高揚感の余韻に浸りながら帰宅しました。

以前お話しましたがサッカーの山雅の試合にも感動し機会があれば見に行きたいと思っていますが それに加えてブレイブウォリアーズの試合もまた見に行きたいと思いました。


2014年1月

獣医療も少しずつ変わってきてCTやMRIを撮ることも普通のことになってきました。 CTやMRIを撮ることで今まで判らなかったこと、たとえば脳のなかの状態などが判 ります。ケイレンなどの神経症状があった場合、以前は脳以外の問題がないかを調 べて問題がなければ脳の問題だろうということで治療にはいっていきました。CTや MRIを撮ると脳のなかに炎症があるのか腫瘍があるのかが判ります。

また大きな血管に血栓ができているかどうかや、お腹のなかにできた腫瘍がほかの臓器などに 癒着しているかも判ります。また今までCTやMRIは東京や神奈川の大学病院や専門の 検査センターで撮影してもらっていましたが、紹介ですが近くでも撮影できるようになりました。 ただ検査の費用は高額です。

したがって検査が必要な状態かどうかを見極めることが非常に重要となります。 むやみに検査するのではなく、しかし必要な時にはしっかり検査を受けていただいて、 その結果を見ながら治療にはいるということです。きちんとした見極めをすることが できるように、これからもっともっと努力していかなければいけないと思っています。

もうすぐ今年も終わりになります。皆様よいお年をお迎えください。

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2013年12月

ウチのいぬ今までそんなに寒がらなかったのに今年の冬はすごく寒がるようになりました、というよ うな話を飼い主さんから聞くことがあります。甲状腺機能低下症という病気の可能性があります。

前回までお話していたのは副腎皮質ホルモンですが今回は甲状腺ホルモンの話になります。甲状 腺ホルモンも副腎皮質ホルモンと同じで 視床下部から下垂体、下垂体から甲状腺に指令がいっ てホルモンがでるようになっています。視床下部や下垂体や甲状腺に炎症や腫瘍、萎縮などがお きると甲状腺ホルモンがでなくなる甲状腺機能低下症という病気になる場合があります。

この病気は普通は6歳くらいの中年になってから発症することが多く、この病気がおきやすい犬種のゴール デン・ダックス・シュナウザー・プードルなどは、もっと早い時期から発症することもあります。症状は、 寒がる・元気がない・ボーっとしている・かゆみがない左右対称の脱毛・尾の毛がぬけている(ネズ ミのしっぽのようなのでラットテールといいます)・くるくる回る・頭が傾く、などがあります。治療は甲 状腺ホルモンの補充です。からだに必要な量を飲めば寒がらなくなって元気になって活発になっ てきます。トシをとったからこんなもんかなと、思われている場合がよくありますが診断ができて治療 をすれば、トシではなくもともとの元気な状態に戻すことができることがあります。

12月以降はフィラリアを取りにきていただくこともなくなっていろいろな話をする機会が減ってしまいますが、 今までと違うことや気になることがあったら電話でも結構ですのでご相談ください。


2013年11月

人のがん末期の患者さんに痛みや吐き気をとるためにステロイドが使われ始めているという記事が ありました。ステロイドは副腎皮質ホルモンともいいます。

以前より末期がんの患者さんの痛みをとるために痛み止めを使いますが、吐き気などの症状を 止めることができません。ずっと吐き気があるのは本当につらいことだと思います。 がん患者さんの体のなかでは炎症に関係する物質がたくさんつくられて、 痛みや吐き気などの症状をひきおこしていると考えられています。

ステロイドは炎症をおさえる薬なのでこれらの症状をおさえることができ、患者さんの痛みを とったり食欲不振や吐くのを止めたりいろいろな苦痛をとることができるので、 生活の質をあげることができます。いままでステロイドがあまり使われなかったのは 感染症の危険が高くなることや免疫力が落ちるというような副作用の心配があったからです。 しかしそれらの心配より生活の質を高くするメリットのほうが上回ることがわかってきたので、 ステロイドが使われるようになってきたのです。

残念ながらステロイドを使っても生存期間をのばすことはできません。 しかしステロイドを使えば今までより苦しさが少ない状態で最期を迎えることができる場合が あるのです。病気を治す治療ではありませんが患者さんにとっては治すことより もっと大事な治療となっていると思います。

末期のがんのいぬさんやねこさんにもステロイドを使って、吐くのがとまったりエサが 食べられるようになることがあります。すべての痛みや吐くのを止められるわけではありませんが、 いままでより吐かなくなってエサも食べられるようになって元気になったと言われることが ありますので、これからも飼い主さんと相談しながらステロイドを使っていこうと考えています。


2013年10月

今回は前回に続いて副腎皮質機能低下症の話をします。

この前お話したようにこの病気になると、体にストレスがかかった時にそれを治すことができなくなって、 急に元気がなくなったり食欲がなくなったり吐いたり下痢をしたりします。普通このような症状が出た時は まず胃腸炎を疑います。

実際に胃腸炎がおきている場合がほとんどですが、それ以外のこととして副腎皮質機能低下症がおきている場合があります。 胃腸炎の場合、吐いたり下痢をしても元気はそんなに悪くないことが多いですが、すごく元気がない場合や、 聴診して心臓の打ち方がゆっくりの場合、そして内股のところを触ると血圧がわかりますが、 血圧が低い場合などは副腎皮質機能低下症を疑います。

確認のための検査は、血液の中にある副腎皮質ホルモンの量を測って調べます。副腎皮質ホルモンの 値はストレスがかかるとすぐに高くなってしまいますので、採血するとき怖がったり、緊張しないよう にしながらやっていきます。

以前当院で採血して副腎皮質ホルモンが低めの値だったいぬさんが、ほかのことで専門医に受診してもらって 検査してもらうと、副腎皮質ホルモンが非常に高い値だったことがありました。 当院ではいつものことでリラックスして採血できましたが、専門医のところで、 すごく緊張している状態での採血となってしまったようです。副腎皮質機能低下症は特別な症 状がなく、いつもどうりでリラックスしているときに採血しなければ、きちんとした評価ができないの で見逃されやすく診断しづらい病気です。

症状が急激にあらわれる、アジソンクリーゼという状態になると、命にかかわるような怖い病気ですので、 いぬさんの性格や家でのいつもの様子などもよくお聞きしながら、副腎皮質機能低下症を見逃さないように 診察していこうと思います。


2013年9月

前回副腎皮質ホルモンがたくさん出てしまう副腎皮質機能亢進症の話をしました。今回は副腎皮 質ホルモンが出なくなる、副腎皮質機能低下症の話をします。

この前お話しましたが、副腎皮質ホルモンは、視床下部から下垂体、下垂体から副腎皮質、に指令がでて 副腎皮質ホルモンが出るようになっています。視床下部や下垂体から指令が出ない場合を、 続発性副腎皮質機能低下症といい、副腎自体の問題で副腎皮質ホルモンがでなくなった場合を、 原発性副腎皮質機能低下症といいます。

続発性の場合は、視床下部や下垂体が腫瘍や炎症を起こしたことが原因となることが多く、 グルココルチコイドという副腎皮質ホルモンが出なくなります。原発性の場合は、副腎皮質が 縮んでしまうこと(萎縮といいます)が原因となることが多く、グルココルチコイドと ミネラルコルチコイドいう2つの副腎皮質ホルモンが出なくなります。グルココルチコイドは 体がストレス状態になったとき、体が耐えられるようにする働きがあります。 グルココルチコイドが出ないと、元気がなくなったり、食欲が落ちたり、吐いたり下痢が おきやすくなります。

またミネラルコルチコイドは体の水分と電解質(ナトリウム・カリウム・クロールなど)の バランスを調節しています。ミネラルコルチコイドが出ないと、体を循環する血液の量が減ったり、 低血圧になり、不整脈がでやすくなります。症状は徐々に出てきます。

いつもは元気でペットホテルに預けた時ストレスがかかり、それを体が治すことができ なくなって、元気がなくなったり吐いたりする症状がでて、この病気がみつかることがあります。元 気がない、吐くという症状はいろいろな病気でおきることです。実は副腎皮質機能低下症は典型 的な症状が少なく見逃されている場合もあります。そして気づいた時には命の問題になっているこ ともある怖い病気なのです。

ちょっと長くなりますのでこの続きは次回お話します。


2013年8月

今回は副腎皮質機能亢進症についてお話します。

副腎皮質機能亢進症の症状は、
 お水をたくさん飲んでおしっこをたくさんする、
 皮膚に左右対称に痒みのない脱毛がある、
 おしりの筋肉は落ちているのにお腹が大きい、
 ハアハアしている、
 元気がない、
などがあります。

もともと脳のなかにある視床下部というところからから下垂体、下垂体から副腎皮質に、 指令のホルモンがでて、副腎皮質から副腎皮質ホルモンが出るようになっています。 その下垂体や副腎が腫瘍化したり腫瘍ではなく大きくなったり(過形成といいます) することで副腎皮質ホルモンがたくさんでたり、アレルギーや免疫の病気などで 副腎皮質ホルモンをたくさん摂ることなどでこの病気はおこります。治療をしないと 糖尿病を併発することや、血栓ができて肺の動脈が詰まってしまうこともあり、命にかかわる 病気です。

プードル・テリア・シェパード・ビーグル・ラブラドール・ボクサー・ボストンテリア等の犬種 が罹りやすいといわれています。

また下垂体の腫瘍は小型犬に、副腎の腫瘍は大型犬に多いといわれています。 血液を採って普通にしている時の副腎皮質ホルモンの量を調べて、そのあと指令のホルモンを 注射して注射したあとの副腎皮質ホルモンの量の増え方をみたり、血液の検査をしたり、 エコーで副腎の大きさをみたりして総合的に診断します。下垂体や副腎が腫瘍化していないかは CTやMRIの検査をして調べる場合もあります。副腎皮質機能亢進症は飲み薬をのんで治療します。

きちんと薬を飲めば症状が出なくなって普通に生活することができるようになります。


2013年7月

今までにいぬさんねこさんの肥満の話をしましたが、今回は痩(や)せているいぬさんねこさんの話をします。

以前お話したボディコンディションスコアの表を見ていただいて1か2の場合は痩せています(削痩といいます)。 削痩の原因は、栄養を必要なだけとることができないか、栄養がいままで以上に必要になったか、 のどちらかです。

栄養を必要なだけとることができない理由とは、えさを必要な分だけ与えていない (えさを変えると100グラムあたりのカロリーが変わるので足りなくなることがあります)、 口内炎や歯周病・口の中の腫瘍などで食べたいのに食べられない、食欲が落ちた、 すい臓の消化酵素が出なくなる病気(便が黄色っぽくなって便を食べてしまうことがあります)、 腸に炎症をおこして吸収がうまくできない、糖尿病でインシュリンがでなくて細胞に糖を取り込めなくなる、 などがあります。

栄養がいままで以上に必要になる理由とは、腫瘍ができて腫瘍の細胞が正常な細胞から栄養を 横取りしてそれも正常細胞より栄養をたくさん必要とするので栄養不足となる、 ねこさんの甲状腺機能亢進症という病気で代謝が亢進して必要な栄養量が増える、 ことなどがあります。

来院された時はカルテで体重が減っていないか診ていますが、家でえさの量が変わらないのに 痩せてきたように思われたら診察をうけていただくことをお勧めします。


2013年6月

雨の日も多くなりもうすぐ梅雨入りが宣言されると思います。

前にもお話しましたが梅雨の晴れ間は、一気に気温があがりやすくまだ夏ではないとの油断もあり、 熱中症がおきやすくなります。ちょっとだからと車のエンジンを切って買い物に行って戻ってきたら、 いぬさんが熱中症になってしまったということはよくあることです。気温や気圧の変化も はげしい時期なので膀胱炎や心臓病の悪化、吐いたり下痢などの胃腸炎もおきやすくなります。

また隠れていた病気がでてくることもあります。特にホルモンの病気は気温や気圧が安定している ときは症状がでにくく、気温や気圧が変わりやすい春先や梅雨の時期に症状がでやすくなります。 飼い主さんは動物の変化に気づかれていることが多く、春先や梅雨のとき具合がわるいけど、 その後元気になるのが毎年のことだから心配ないと思っていた、と言われることがあります。 フィラリアを取りに来ていただいた時などに様子を言っていただければ隠れていた病気を みつけることができることがあります。


2013年5月

今回はねこさんの病気 猫伝染性腹膜炎についてお話します。猫伝染性腹膜炎(FIP ともいいま す)はウイルスが原因の病気です。症状は2つのタイプに分かれます。

1つは胸の中やお腹の中に水がたまるタイプで、胸に水がたまると息が速くなったり苦しそうになったりします。 お腹に水がたまると太ったわけではないのにお腹だけが大きくなったようにみえます。

もう1つのタイプは腎臓や眼が悪くなったりお腹にしこりができたりします。

もともとほとんどのねこさんは腸コロナウイルスというほとんど病気をおこさないウイルスにかかっています。 そのウイルスがねこさんの体の中で突然変異をおこして猫伝染性腹膜炎ウイルスに変わってしまうことがあり 猫伝染性腹膜炎を発症します。

ほとんどのねこさんの体の中でウイルスは変異しませんが、たくさんのねこさんが一緒にくらしてい ることによるストレスや、猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスの感染による免疫低下によって、腸 コロナウイルスが猫伝染性腹膜炎ウイルスに変異すると考えられています。わかっていないことが 多い病気で残念ながら治療の反応もあまりよくありませんが、猫伝染性腹膜炎にかかったねこさん がほかのねこさんにこの病気をうつすことはないといわれています。ウイルスが原因の病気ですが うつる病気ではないということです。(以前は猫伝染性腹膜炎ウイルスがねこさんからねこさんにう つると考えられていました。)

今わかっていることを簡単にお話しましたがもっと正確な診断や新しい治療ができるようになったら またこの猫伝染性腹膜炎についてお話します。


2013年4月

最近人がマダニに咬まれて死亡する病気の報道がありました。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という 病気です。ほとんど知られていない病気で、まだわからないことが多く、現在わかっていることをお話します。

まずマダニとは家のなかにいる小さなダニとは違い、外の草むらにいて草むらに入ってきた人や 動物について血を吸うダニです。血を吸う前は1~2ミリくらいの小さな虫ですが、血を吸うと 1センチくらいになりスイカの種がついているように見えます。そのマダニのなかにいるウイルスが 原因でこの病気になります。ウイルスはマダニが血をすうときに人の体に入ってきます。 症状は発熱や倦怠感、嘔吐や下痢と出血症状などです。マダニに咬まれて6~14日くらいで症状が でると考えられています。

中国の検査でいぬさんはこの病気の抗体を50%以上持っているという報告があります。 ただ抗体を持っているのと病気になるというのは別の話です。実際いぬさんでこの病気になったと いう報告は今のところありません。日本ではいぬさんが抗体を持っているかや、病気になったかの 報告がでていませんので、これからデーターが報告されましたらまたお話します。

人はこの病気にならないようにするために草むらに入らない、入らなければいけない場合は 長袖・長ズボンの着用してマダニに咬まれないように下さい。そしていぬさんは、今までの報告で この病気にならないと考えられますが、わかっていないことも多く、マダニに咬まれないようにする ことは大切なことです。

前にお話しましたが、いぬさんには首にぬるダニよけがあります。ダニよけには、ダニが血を吸って から死んでしまうタイプと、薬の効果で皮膚や毛にダニがついていることができず血を吸うことが できないタイプがあります。とりあえず今の状況では血を吸うことができないタイプでダニ予防を するのがベターな方法と考えています。


2013年3月

以前お話しましたが新しい傷の治し方についてもう一度お話します。

昔は傷を治すには消毒して乾かすことが基本とされていました。傷を消毒し乾かすためにガーゼ交換をする、ガーゼをはがす とき痛いけれど、こうしないと傷は治らないと信じてやっていました。最近傷の消毒をすることは傷 の中にいるばい菌をいなくすることより、傷の中の組織にダメージをあたえることのほうがおおきい ことがわかってきました。また傷が乾燥すると傷の治り方が悪くなることもわかりました。したがって 傷は消毒やガーゼを使って乾かさないようにして治してはいけないという、今までと逆さまなことを しなければいけないことがわかりました。

そこでどうすれば傷が乾かないようにできるのかということ で考えられたのが、サランラップで傷を保護してしまう方法です。この方法だと傷はいつでも湿った 状態になって早くに傷が治ります。傷に滅菌しているわけでもないサランラップを巻くなんてそれ で大丈夫なのかと思われるかもしれません。しかし実際に消毒とガーゼ交換よりサランラップを 使ったほうが傷が早く治ったという報告が増えています。

もちろんサランラップだけではいけない場 合はあります。傷の中に死んだ組織があったり膿がたまっていればそれを取り除かなければいけ ません。感染があれば傷に抗生物質の軟膏を使わず全身に効く抗生物質を投薬しなければいけ ません。サランラップだけでいいか判断することは非常に大切なことです。ただ傷の治し方は昔と 逆さまの乾かさないことが基本になりました。

今までの常識に捉われず今している治療が本当に正 しいかをいつでも意識していかなければいけないと思っています。


2013年2月

いぬさんのアレルギー疾患としてアトピー性皮膚炎があります。アトピー性皮膚炎の原因はたくさ んありますが花粉もそのひとつです。花粉が原因となるアトピー性皮膚炎は花粉の飛ぶ春や夏の 終わりにかゆみがひどくなります。花粉が原因でない場合は一年中症状がありますので冬でもか ゆみがあります。

治療は以前にもお話しましたが抗アレルギー薬やステロイド、免疫抑制剤、イン ターフェロンなどを使います。補助的にシャンプーや保湿剤を使っています。冬になって湿度が 低くなって乾燥しやすくなったこともあり今までより保湿剤を使ってもらうようにしています。アトピー 性皮膚炎の治療をしているいぬさんで保湿剤をあまり使っていなかったいぬさんにしっかり使って もらうと、あきらかにかゆみが減っていることがあります。

最近の保湿剤は今までの保湿剤よりもべ たつきが少なくなって、毛のあるところに塗ってもべたつかずしっとりする程度で塗りやすくなったと 飼い主さんは言われますので、その分しっかり保湿ができるようになったのかもしれません。今まで アトピー性皮膚炎の治療は抗アレルギー薬が効かなくなったらステロイド、それも効かなくなったら 免疫抑制剤と、飲み薬を変えていくことが主体と考えていましたが、保湿をしっかりやってもらうこと も大事な治療だと気づかされました。

アトピー性皮膚炎の治療ではあたりまえのことですが自分の なかではそれほど大切だと感じていませんでした。これからのアトピー性皮膚炎の治療には保湿 をしていただくことを積極的にお話しようと思っています。


2013年1月

今回はトキソプラズマ症の話の続きをしたいと思います。

(猫の飼育+妊婦さん=トキソプラズマ症)という誤解があり、なかには猫を処分したほうがよいか という質問をうけることがあります。

前回お話しましたが猫さんが初めてトキソプラズマに感染してから最長20日間 オーシストを便といっしょに排出します。その時期にいままでトキソプラズマに 感染したことがない妊婦さんがトキソプラズマに感染した場合のみ胎児に 水頭症などの症状がでる可能性があります。逆にいえばトキソプラズマに感染した ことがない妊婦さんに初感染した猫が20日間接触しないよにすればあとは心配 ないということです。

実際猫を飼ったことがある妊婦さんと飼ったことがない妊婦さんでトキソプラズ マの抗体を持っている率にほとんど差はありません(誤差の範囲と判断されています)。 それよりも生肉をたべたことがある、土いじりをしたことがある妊婦さんと そうでない妊婦さんではあきらかに生肉を食べたり土いじりをしたことがある妊婦さんで トキソプラズマの抗体をもっている方が多くなります。したがって猫を飼うことで トキソプラズマに感染する可能性が高くなるということはほとんどありません。

念のため妊娠を希望される方はご自身にトキソプラズマの抗体があるか、飼っている猫さ んに抗体があるかを調べて下さい。もしご自身も猫さんも両方に抗体がない場合でその後妊娠さ れた場合のみ猫さんの便に直接触らないようにして下さい。それができなくて妊娠されてからご自 身のトキソプラズマの抗体を調べてもらう場合は2種類の抗体検査で妊娠してからの初感染がな いかを調べていただければよろしいと思います。猫さんを飼われている妊婦さんは必要以上に心 配しないで気をつけていただくことが大切です。

もうすぐ2012年も終わりになります。皆様よいお年をお迎えください。

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2012年12月

今回は最近話題になったトキソプラズマ症についてお話します。

ひとでは女性が妊娠したとき必要な感染症の検査のひとつとしてトキソプラズマの検査をしています。 一時期トキソプラズマの感染はほとんどないということで検査から外されていましたが トキソプズマにかかってしまった子供の報告が相次ぎ再び検査するようになりました。

トキソプラズマ症は人・犬・猫を含めたほとんどの哺乳類や鳥類が感染する病気です。 感染した動物のなかでトキソプラズマが最後に寄生する動物であるネコさんの体の中では オーシストという卵をつくってネコさんの便といっしょに出るようになります。 ネコさん以外の動物にトキソプラズマが感染するとその動物の筋肉や脳の中に寄生していて その動物の便といっしょにトキソプラズマは出てきません。

ひとがトキソプラズマに感染するには猫の便といっしょにでたトキソプラスマの オーシストが口や皮膚にできた傷などから入るか、猫以外のトキソプラズマに感染した動物 (牛・豚・馬・いのしし・鹿や鳥など)の肉が生で口に入ることなどによります。 実際には感染している猫の便が手についていたり土いじりをすることやカナダでは水道水に 含まれていて感染したという報告もあります。猫以外では生肉や生ハムを食べ たりすることで感染します。馬刺しを食べる長野県や九州では感染者が多くなっている という報告もあります。

そして胎児は女性が妊娠中に初めてトキソプラズマに 感染すると胎盤を通って感染します。妊婦さんが妊娠中に感染しなければ胎児には 何の心配もありません。妊婦さんがトキソプラズマの検査で感染が認められた場合、 妊娠前に感染した場合と妊娠後に感染した場合の二つが考えられます。 妊娠前に感染していた場合は胎児に心配はありません。妊娠後に感染した場合 胎児にトキソプラズマが感染する可能性がでます。

現在二種類の検査をすることで妊娠前の感染か妊娠後の感染かを分けることができるようになりました。 ここまでの話では妊婦さんは猫を飼ってはいけないように思われると思いますが 次回妊婦さんが猫を飼うことをそんなに心配しなくてもいいということをお話したいと思います。


2012年11月

いぬさん、ねこさんの話ではなく人の話ですが日本脳炎のワクチンの副作用で2名の方が 亡くなった可能性があるという報道がありました。ご遺族の方はなんでワクチンをうけて 亡くならなければならないのかと思われていると思います。逆に今ではほとんどないこと ですがワクチンを受けていなくて日本脳炎にかかって亡くなられる方もいます。ワクチン をうけなければよかったと思われる方とワクチンをうければよかったと思われる方の両方 のことがあります。残念ながらどちらを選んでも百パーセントよかったと思えることを選 ぶことはできません。いぬさんやねこさんのワクチンでも同じことがいえます。それがど れだけ必要なのか、それがどれだけ危険なのかをきちんと話をして飼い主さんと決めてい くことが大切だとあらためて思いました。


2012年10月

当院の待合室にはミドリガメがいます。イスの下の水槽にいるので突然動き出して水を バシャバシャさせて気づいていない飼い主さんをびっくりさせてしまうことがよくあります。 不思議そうに見ているいぬさんや飼い主さんもいます。特別名前もつけていませんが 『かめきち』とか『かめたろう』といろいろな名前で声をかけてもらっています。

長男が小学生の時お祭りの亀すくいで彼をつれてきたので12年くらい前から飼っています。 最初は4センチくらいでしたが今では25センチ位の大きさになりました。カメに詳しい方でなければ ミドリガメとは判らないと思います。目が合うと寄ってきます。彼がまだ小さいときは 水槽も小さなものだったのでガラス越しに外からみえる棚に置いていました。

ある日ヤクルトを入れてもらうクーラーボックスをあけるとなんと中にミドリガメがいました。 ミドリガメを飼えなくなった人が当院でかめを飼っているのを見て置いていったのではないかと 思っています。今そのカメは知り合いの歯医者さんの待合室にいます。『鶴は千年、亀は万年』と いいますが実際には30年から40年くらいの寿命のようです。当院のカメはきっと私より長く生きると思います。


2012年9月

ロンドンオリンピックが終わりました。競技時間が深夜でしたが気になる競技は早い時間 に一旦寝て夜中にまた起きて見ていました。

今回のオリンピックは見どころがけっこうたくさんあったと思います。 個人的には女子のサッカーとバレーボールがすばらしいと思いました。 何度も何度も相手に圧倒されそうになりながらなんとかピンチをしのいで最後に は勝っている。女子サッカーの愛称でもあるなでしこそのままの活躍だったと思います。 大和撫子とは、可憐で繊細だが心は強いなでしこの花にみたてた日本女性のこと、という ことですがまさにその通りだと思いました。劣勢になっても耐えて耐えてなんとか持ちこ たえる本当の強さを持っていました。

それに比べて一般的に日本の男性はがんばったり耐えたりしなければいけない ここ一番というときに持ちこたえられない人が多いように思います。 書いている私が一番いい例のように思っています。残念ながらどうすればそのようになれるか わかりませんがすこしでも一番大事なときにがんばりきれる人になりたいと思いました。


2012年8月

連日高温注意情報がでています。日中外にでると痛くなるような日の強さを感じます。今 回は前にもお話ししましたが熱中症についてもう一度お話しします。

熱中症は高温で湿度が高い状態の時、炎天下に外にいたり車の中にいたりすることでおこります。 猫さんはあまり熱中症にはなりません。いぬさんで毛が長い種類だったり鼻が短い種類の場合や太っ ていたり心臓や呼吸器の病気があるいぬさんは特に注意が必要です。

熱中症になるとハアハアして苦しそうになり、症状が進むと吐いてケイレンを起こし意識が無くなり、しまい にはショックの状態になり命の問題になります。体のなかでは脳の細胞が死んでしまった り出血していたり、心臓が普通に血液を送れなくなり腎臓が働けなくなっておしっこが作 られなくなったり肝臓や腸も働けなくなってエンドトキシンというものによるショックが おきてしまったりします。血液の状態も変化して出血しやすくなったり血栓という血のか たまりが血管の中にできて、いろいろな所の血管が詰まって血液が流れなくなってしまう ことがあり、その先にある臓器に血液が届かなくなってしまいます。

これは熱中症がすすんだ時のことですが、熱中症になったと思われた時涼しい所において熱が下がるともう大 丈夫と思いがちですが、そのあとも体のなかで今お話ししたようなことがおきていないか 注意して見ていくことが大切です。いつもよりハアハアしていたらまずエアコンを使った りして体を冷やしてください。そして体を触っていつもくらいの体温になったらもう大丈 夫と思わずに病院を受診して下さい。


2012年7月

以前からいろいろな人に誘われていたこともあり山雅の試合をアルウィンに見に行きまし た。アルウィンに入るのは初めてです。高校野球の聖地の甲子園やバスケットの聖地の代 々木第二体育館など、どのスポーツにも頂点に立つとプレーできる場所があります。そこ までではないとしてもアウィンもこの地域でサッカーをする選手にとってはあこがれの場 所なんだろうと思いました。

試合まで時間があったのでお弁当とノンアルコール・ビールを買ってのんびりしていました。 何ともいい気分でゆっくり日が暮れていくなか徐々に試合時間が近づいてきてテンションがあがっていきます。

試合は残念ながら負けてしまいましたがテレビで見るのとは違うスタジアムで生で見る良さを 十分に感じることができました。今度は車を運転しないで駅からでているシャトルバスで 行って生ビールを飲みながら試合を見ようなどと考えています。

ただプロフィールにも書きましたが私の一番の楽しみはバスケット観戦です。 残念ながらバスケットはサッカーほど人気がありません。日本のバスケットが世界でも勝てるように、 少なくともサッカーと同じくらいに勝てるようになれば山雅のように地域で熱狂的な応援を 受けることができるバスケットチームができるかもしれません。 松本山雅を声がかれるまで応援している姿を見ていつか松本で山雅のようなバスケットチームを 思いっきり応援したいと思いました。


2012年6月

今回はいぬさんの乳腺腫瘍についてお話しします。

めすいぬさんがかかる腫瘍で一番多いのが乳腺の腫瘍です。 大体半分が良性で半分が悪性と言われています。めすいぬさんにブラシをかけたりした時などに コリっとした小さなしこりに気づくことが多くフィラリアの予防で来られたときに、 ほうっておいても大丈夫ですか、と質問されることがあります。

いぬさんの乳腺腫瘍は急に大きくなることが多く3センチをこえた悪性の乳腺腫瘍は転移を おこしやすくなります。良性の場合もありますがほうっておいて大丈夫とは言えません。 良性と悪性を区別するには手術をしてとれたしこりを検査しないとわかりません。 しこりをとる前にしこりに針を刺して針の中に入ってきた少量の細胞を検査することもできます が炎症という結果がでて、そのあとしこりをとって検査をしたら悪性の腫瘍だったこともありますので、 針からの細胞の検査でしこりを判断することはお勧めできません。しこりをとることについては 大きさの経過を観察したり、炎症が疑える場合は炎症をおさえる治療をして、 そのあとの経過をみたりしながら飼い主さんと話をしながら判断していきます。

まためすいぬさんは2度目の発情が来る前に卵巣子宮を摘出する避妊手術をしているとほ とんど乳腺腫瘍になりませんので子供をとる予定のない場合は2度目の発情前の避妊手術 をお勧めします。そしてごくまれですがおすいぬさんも乳腺腫瘍になることがあります。


2012年5月

今回はねこさんに寄生するサナダムシの話をします。

この地域でねこさんに寄生するサナダムシは主に2種類あります。 ひとつはマンソン裂頭条虫という虫です。ほとんどがカエルを食べることで感染します。 おしりからひものようなものがでていて気づくことが多く実際の長さは1メートル以上あります。 ねこさんが舐め切ってしまうことがありますがサナダムシの頭の部分は しっかりねこさんの腸に残っています。外に出ないねこさんは普通感染はありえないことですが ベランダに出るねこさんに感染がみられたこともありました。 屋根を上ってきたカエルを食べていたそうです。

もうひとつのサナダムシは瓜実条虫という虫でねこさんについたノミを毛づくろいするときに のみこんで感染します。 片節という2~3ミリくらいの虫の体の一部が分かれて便といっしょにでます。 片節が肛門についているとおしりに米粒のようなものがついている、またはおしりをこすことがあるので その時に感染がわかります。

虫下しを飲んでまたは注射して治療します。瓜実条虫の場合は虫下しの前にノミの駆除をやります。


2012年4月

いぬさんの舌の色が白っぽくなっていたら貧血をおこしている可能性があります。

貧血にはいろいろな種類がありますがそのひとつとして免疫介在性溶血性貧血というのがありま す。赤血球の表面についた寄生虫や抗生物質などの薬や腫瘍の影響などで自分自身の免疫 が働いて自分の赤血球を壊してしまうことで貧血がおきてしまう病気です。また原因不明 で赤血球が壊されてしまうこともあります。2~8歳くらいで雌いぬさんのほうがおきや すい病気です。

症状は舌の色以外に寒がる、疲れやすい、息が早い、吐いたり下痢をする、 まれにおしっこが赤くなる、白目が黄色くなることもあります。この病気は免疫の反応が 強いほどたくさんの赤血球が壊されてどんどん貧血が進みます。いろいろな免疫の反応を 抑える薬を使ったり輸血をしたりして治療しますがそれでも貧血がすすんでいくことがあ り、血管の中に血栓というものができて肺の動脈を詰まらせてしまったり全身が出血しや すくなって、命の問題になることがあります。

いぬさんの舌の色が白っぽくなっていたら 非常に怖い貧血がおきている場合があることを憶えておいてください。


2012年3月

昔に比べるとフィラリア症の予防をしているいぬさんが多くなっています。その影響もあ るのかもしれませんがお腹にいる寄生虫でフィラリアの予防といっしょに虫下しができる 回虫などは減っているように思われます。それに代わるように他の寄生虫(ジアルジアや コクシジウムなど)が増えている気がします。

ジアルジアという虫は子犬の便の検査で見つかることが多い虫です。 回虫はそうめんのような目で見える虫ですがジアルジアは顕微鏡で大きく拡大してやっと 見ることができる小さな虫です。子犬を飼いだしてすぐの時期に便がゆるむことがあります。 新しい環境に慣れることができなくてストレスで便がゆるむこともありますが ジアルジアなどがお腹にいることで便がゆるむこともあります。

普通は5日間薬を飲めば治ります。しかしジアルジアにかかるとシストといわれる卵が便と いっしょにでます。シストはいぬさんがした便のなかで3ヶ月以上生きていることができ ます。せっかく薬をのんでお腹にジアルジアがいなくなっても落ちていた自分の便のにお いをかいだりなめたりするとまた感染してしまいます。治療をしてよくなってまた感染し て便がゆるんでしまうという繰り返しになってしまうことがよくあります。

便をしたらすぐに残っていないようにかたづける、いぬさんのおしりに便がついていたらきれいに ふきとることを徹底してもらうことが大切です。子犬を飼い始めた時には便の検査を受けて いただくことをおすすめします。


2012年1月

もうあと数日で2011年が終わります。本当に大きなことがあった一年だと思います。

前にもお話ししましたが年配の方からいただいた年賀状に最近は今までの経験が役にたたないことが 多くなったと書かれていました。60年・70年前から現在のことをみると確かに予測できないことが たくさんあると思います。しかし100年・200年前から現在をみると繰り返しになっていることも 多いのではないでしょうか。地震や津波も60・70年前からではなく100年・200年前から みていれば想定外という言葉は出てこなかったと思います。大きな地震が来たことで自分がわかっている ような短い範囲ですべてを判断してはいけないことを教えてもらいました。

病気も今までよりもっと深く考え、もっと他の考え方がないのか掘り下げてみれば 今まで治せなかった病気も治せるようになるはずです。 そのための努力をおしまないようにすることを来年の目標にしたいと思います。

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2011年12月

最近当院で飼っている7歳のフレンチブルドックの歯ブラシをVT(獣医看護師)さんに してもらっています。本当は子犬の時から歯ブラシはしなければいけないのですが私の怠 慢で今になってやってもらうようになりました。指に絆創膏をまくような紙でできたもの でブラッシングをしてもらっています。

前歯はもちろんですが奥歯もしっかり磨けるよう で昔の白い歯に戻りつつあります。目にみえている歯の汚れはとれてきましたが歯と歯肉 のあいだのポケットには歯石が残っています。歯の汚れ(歯垢)を放っておくと歯石にな ります。そして歯石があることでポケットの中にはたくさんのばい菌が住んでいます。そ のばい菌が心臓や腎臓の病気や糖尿病を起こす可能性があります。歯ブラシがきちんとで きるようになったので、歯石もとってそのあと歯の汚れがつかないように歯ブラシを続け ていく予定です。これから彼のお口は歯石も歯垢もないきれいなお口になるはずです。


2011年11月

今回は猫さんの膵炎についてお話しします。

ネコさんが吐いたとき毛玉で吐いたかなと思われる飼い主さんは多いと思います。毛玉でなく ネコさんが吐いているときはいろいろな病気を疑わなければいけません。胃炎や異物を 飲み込んでいることなどもそうですが膵炎もその一つです。

犬さんが膵炎を起こしているときは激しい嘔吐や腹痛、血を吐く、血がそのまま便のように 出るなど症状がひどくはっきりしているので診断がしやすい場合が多くあります。 ネコさんの膵炎は吐いたり腹痛がある場合もありますが食欲がなくなったり元気がないといった 症状だけの場合もあります。そして膵炎がおきたあとに肝リピドーシスという病気が起きる 場合があります。この二つの病気がいっしょに起きてしまうと治療することがたいへんむずかしくなります。 死亡率が50パーセントをこえるという報告もあります。ちょっと吐いたけどいつもの毛玉 かなとか、2・3日えさを食べないなと思っているあいだに膵炎と肝リピドーシスがおき ている場合もあるということなのです。

こわい病気ですが判っていないことが多く診断が非常に難しい病気です。 最近いろいろな報告がふえてきました。血液の検査でネコさんの膵炎を 調べることもできるようになってきました。少しずつですが今まで助けることがで きなかったネコさんも助けることができるようになると思います。


2011年10月

今回は皮膚病のはなしをします。

皮膚病は原因となるものが非常にたくさんあり、その原因がひとつだけでなく複数ある場合も 少なくありません。そしてその原因を治療するのに何ヶ月も必要となることがよくあります。 複雑にからみあってお互いの原因の特徴をわからなくしてしまって、原因が何なのか わからなくなることもあります。治療に時間がかかるので本当にこれで治るのだろうかと 心配になる飼い主さんも多いと思います。

統計的にみても他の病院に転院することが一番多いのが皮膚病だと言われています。 実際自分で診察し原因はこれだと思って治療を始めますが、他に原因になるものが隠れていないか 治るまでは正直なところ不安もあります。

エサの種類、おやつを与えているか、サプリメントなどを与えているか、季節でかゆみが 変わるか、発情はいつあったか、食器の種類、どういう環境で飼われているか、 家の中や外にどんな植物があるか、他に飼っている動物はいるか、敷物など体に直接 触れるものの種類など、それ以外にもいろいろなことを聞き、実際に問題をおこしている 皮膚の状態を見ながら検査をし診断していきます。

ほかに見逃した原因がないか、いつも以上にいろいろなことに気をつけながら診療しなけばいけない病気です。


2011年9月

昔運動をするときは疲れやすくなるので水をのんではいけないと言われていました。野球 のピッチャーも肩を冷やしてはいけないと言われていました。今は運動をしている時はき ちんとした水分補給をし、ピッチャーは投げ終わったあとしっかり肩を冷やして回復を早 めています。

医療や獣医療で昔当然とされていたことが今はまったく逆さまになっている ことが結構あります。経験やデーターの積み重ねによって、昔やったほうが良いとされて いたことが今ではやってはいけないことになっていることがたくさんあります。

たとえば 傷の治療も昔は乾かして治せといわれていましたが今はなるべく乾かさないで治します。 感染がひどい場合は別ですが傷を消毒しながら乾かすより傷を保護して傷口からでる液を ふきとらないようにしていると早く傷が治って痛みも少ないことが分かったからです。傷 の治療というどちらかというと初歩的でよくあることであってもまったく逆さまの治療に なることもあるわけです。これからもいままでとまったく逆さまの治療になることがたく さんあると思います。過去の常識にとらわれず新しい考えを受け入れられるようにしてい きたいと思います。


2011年8月

診療のカレンダーをみていただければ分かると思いますが私の休日は毎週水曜日です。年 末年始には4日間連続で休みをとりますがそれ以外はお盆を含めて連休をとることができ ないので、泊まりでどこかに出かけることはほとんどできません。(どこの動物病院もほ とんど同じですが。)したがって休日に出かける時は日帰りでおもいっきり遊べるところ に出かけます。

私と子供は海で魚を捕ったり釣ったりするのが大好きです。ともかく海に 行くと異常にテンションがあがります。それとカニを食べるのが好きです。いつものこと ですが今年も新潟県の能生に行きました。高速道路を使って2時間ほどで到着します。海 についたら磯で魚を捕ったり釣りをしたりします。昼になったら道の駅のマリンドリーム 能生に行ってベニズワイを食べます。私は本ズワイ(越前がに)より味が淡白でやや甘み があってミソもおいしく本ズワイより値段も安いのでベニズワイがお気に入りです。ちょ っと贅沢ですが他に何も食べずカニだけの昼飯をとります。食べ終わったらまた海にいっ て磯遊びや釣りをします。そして夕方になったらうみてらす名立というところに行っ てお風呂にはいります。露天ぶろが二階にあって西側が全開で海が見渡せるようになって います。海に大きな夕日が沈んでいくのを風呂に入りながらゆっくり見ていることができ ます。

ワンパターンで同じことを今までに何回も繰り返していますが毎回満足して帰って きます。できれば来年もまた行きたいと思っています


2011年7月

以前、温度や湿度や気圧が変化するときや季節の変わり目に同じ病気で来られる患者さん が多い気がするというお話しをしました。最近の新聞に載っていましたがテルモという医 療機器メーカーが7年ほど前から健康天気予報というのを毎日更新しているそうです。

気温、気圧、湿度の条件によって人の関節痛や熱中症や高血圧などがおきやすいかどうか予 報を出しています。人の関節痛は気圧と気温が下がるとき(天気が悪くなるちょっと前な ど)に耳にあるセンサーが働いて自律神経のうちの交感神経が優位に働き出して痛みを感 じる神経が活発になって痛みを強くするそうです。自律神経が動けばホルモンの分泌や免 疫にも影響がでるはずです。

いぬさんでは天気が悪くなるちょっと前に胃炎をおこしたり膀胱炎をおこしたり 心臓の病気がいつもより悪化してしまうことが多いように思います。 もう少しデーターがそろったりエビデンス(根拠)がしっかりできればいぬさんの健 康天気予報ができるかもしれません。


2011年6月

季節外れの台風と梅雨前線の影響で驚くほどたくさんの雨が降っています。薄川も音をた ててうねりながら水が流れています。沖縄では道路を歩いている人が強風で飛ばされてい ました。自然の力に人間は全く無力だと感じます。そして自然というか地球が少しずつ変 わってきている気がします。

私は夕方患者さんが来られていない時を見はからって我が家 のいぬと散歩にでます。薄川の土手を10分程歩きます。晴れた日の夕方は西の山に日が 沈んでいきます。夕日の空のオレンジ色と山の黒い色のコントラストは影絵のようでほん とうにきれいです。

自然はときに恐ろしくときに美しいものだと感じます。大きな地震や 大雨や強風のように恐ろしいのも自然、そして影絵のように美しい山並みの夕日も自然で あり、その中で人間は居させてもらっているのだと思います。自然のすべてを受け入れ感 謝の気持ちを持たなければいけないと感じる今日この頃です。


2011年5月

今回は外耳炎のはなしをします。

いぬさんやねこさんが耳のうしろをかいたり耳の中に指を入れたり首をふっている場合、 外耳炎を起こしていることがあります。とくにコッカー・スパニエル、ラブラドールや ゴーデン・レトリバー、シーズー、ビーグルなどのいぬさんに多く見られます。

耳のなかに炎症を起こす原因はばい菌(細菌)、カビの一種(酵母)の感染や ミミダニ(顔などにつくマダニとは別です)の寄生などがあります。外耳炎はひどくなると 鼓膜の中の中耳に炎症が波及してしまうことがあり、炎症をおこしている側に 首が傾いてしまうことがあります。非常に痛みが強く耳に薬を入れるのが大変になって しまうこともあります。またミミダニの寄生による外耳炎は痒みが強く掻き続けていることで 耳の入り口に血がたまる耳血腫をおこすことがあります。

耳の中に炎症や腫れがないかを見るために耳のなかによごれがないかどうか、 また右と左の耳の入り口の大きさが同じかどうかを耳をあげて見て下さい。 早く気づくことができれば外耳炎がおきてしまってもひどくなる前に治療することができます。 もしうまく見ることができなければ来院された時に確認しますので受付でお話しください。


2011年4月

東北関東大震災および長野県北部の震災に被災された皆様に慎んでお見舞いを申し上げます。 そして一日も早い復興をお祈りします。

3月11日地震があって以降テレビの画像から刻々と被害の甚大さがあきらかになり 余震も重なり松本にいるのに自分も被災してしまったような錯覚に陥りました。 募金をしたり必要なもの以外の買いだめをしないように、電気を無駄に使わないようにしたり、 花粉症ですがティッシュをなるべく使わないようにしています。

いま震災から2週間が経ち自分の精神状態もすこしずつ普通になってきた気がします。 そんななかで今何をしていけばいいのか考えています。とりあえず被災していない地域は いつもどおりのことをしていることも大切なのではないかと思っています。 被災された方々がこれからの復興をされていくなかでほんのちょっと離れた場所の人たちが 普通に生活している姿は追い込まれていた気持ちを少し楽にし前向きな気持ちになっても らえるような気がします。とりあえずできることから始めたいと思います。


2011年3月

大学の入試問題が流失したことがニュースで流れています。

コンピューターのことやインターネットのことに特別詳しいわけではない私にとっては どうしてこんなことが起きるのか不思議です。それと同時にどうしてこの事件を起こした人が すぐに見つからないのかがそれ以上に不思議です。

インターネットに詳しくない人間の個人的な意見ですがインターネットというのは どうして発信者の匿名性を大事にするのでしょう。今回の事件だけでなくインターネット上では 人を誹謗中傷してもそれを言った側の匿名性がきちんと守られ、自分の言ったことに 責任をもたなくてよいことになっているように思えます。何かずるいことする側の見方のように思えてしまいます。

インターネットを使う権利があればそのときには自分が負う責任や義務が生まれてくるのが当然ではないでしょうか。 ヤッタ者勝ちでずるいことをやった人間が罰せられない世の中にはなってほしくないと願っています。


2011年2月

以前、小型・中型犬の寿命は15歳、大型犬の寿命は12歳という話をしました。これは 認知症がおきやすくなる年齢から寿命を推測したものです。

もともといぬさんの歳をひとの歳にすると何歳になるかという計算のしかたは、最初の1年で ひとの20歳、それ以降は1年で4歳と計算します。ですからいぬさんが5歳なら20+4×4で36歳、 10歳なら20+4×9で56歳となります。

最近いぬさんの体重別で、ひとの年齢への換算表というのが発表されていました。 (あくまでも主観的なものですから少し違う換算表もでてくるかもしれません。) そのデーターによると体重が0~9キロまでのいぬさんはさきほどお話ししたとおりの計算をします。 したがって10歳でひとの56歳となります。それ以上の体重のいぬさんはその計算にあてはまらなくなります。

おなじ10歳でも体重9~22.5キロでは60歳、体重22.5~40.5キロでは66歳、 体重40.5キロ以上では78歳となります。人間の56歳、60歳、66歳、78歳の4人の方が並んで いるのを想像してください。いぬさんでは同じに生まれてから10年経つと体重によって これだけの年齢差ができてしまいます。ちなみにいぬさんが15歳の時ひとの歳にすると 小型犬で76歳、中型犬で83歳、大型犬で93歳になります。

ご自分の飼われているいぬさんがひとで言うと何歳になるのか知っておくことは大切なことです。 詳しいことはいつでもお話しできるようにしておきますので来院時などにお尋ね下さい。


2011年1月

ご覧になった方も多いと思いますが『医龍』というドラマがありました。 天才心臓外科医の朝田先生が仲間の協力を得て困難な心臓の手術を成功させていきます。

医龍の放送が終わって少し経ったときに『獣医ドリトル』というドラマが始まりました。 ドリトルというあだ名の獣医師のはなしでした。 最終回でドリトル先生も心臓の手術に挑みます。人工心肺装置を使って心臓の動きを止めて 手術をします。見ていた方は人間も動物も同じように手術をするんだと思われたと思います。 しかし私は心臓の手術をしたことはありません、そして人工心肺装置を実際に使ったこともありません。 ほとんどの獣医師が同じだと思います。医療と獣医療はやっていることは同じことが多いと 思いますがホームドクターと朝田先生のような専門医がきちんと分けられているかどうかが 大きな違いだと思います。

獣医療における専門医は最近になってやっとごく少数の獣医師によって仕事をされている だけなのが現状です。もう少し時間が経てば医療と同じになると思います。

ところで私はホームドクターです。ホームドクターとして大事なことは診断したあとに それが自分でできることかできないことかを判断し、できないことは自分で無理せずに 専門医を紹介していくこともいぬさんねこさんそして飼い主さんにとって大切なことだと考えています。 (もちろん自分がすべてベストなかたちでやっていかれればいいわけですが。)

以前は専門医がいなかったこともありますが自分ですべてをやろうと考えていました。 しかし自分だけでやっていくことには限界があります。今は自分ができないことだと 判断したときこの病気この症状を治すには飼い主さんは何を望まれているかも含めて 何が一番よい方法かを一つ一つ個々に判断していこうと思っています。

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2010年12月

ジステンパーについて

今回はいぬさんのかかるウイルスの病気でジステンパーについてお話しします。

いぬさんのウイルス性疾患で代表的なのはパルボウイルス感染症とジステンパーです。 症状は目やにや青ばな(膿性鼻汁)くしゃみ、せきなどの呼吸器症状と吐いたり下痢をしたりする 消化器症状と口がひくひくするチックやケイレンなどの神経症状などがあります。 これらの症状は別々に出る場合や呼吸器、消化器、神経症状と順番に出る場合など様々です。

いろいろな症状があるので診断することが難しい場合もあります。 たとえば子犬で元気はあるけれども体重が増えないとか中年から老年にかけてケイレンが おきるようになった場合など他に考えられる病気がいくつかあって、すぐにジステンパーの 診断ができないことがあるからです。

ジステンパーの診断は抗体か抗原で調べます。抗体はお母さんからもらった抗体や 予防注射でできた抗体、ジステンパーにかかってできた抗体があり抗体があるかないかだけでは 診断がむずかしく、また抗原とはウイルス自体のことでが鼻水便血液などのなかに ウイルスがあるかを調べる検査です。ウイルスが見つかればジステンパーにかかっている ことがわかりますが鼻水便血液にウイルスがでている期間が短くその時期を逃すと感染して いてもウイルスがでないので検査としては陰性になってしまいます。 典型的に症状がでればそれほどではありませんが典型的に症状が出ない場合診断は難しくなります。 治療は症状によってさまざまですが神経症状がでると治療の反応が悪くなってしまいます。

最近いぬさんが全国いろいろな場所から来るようになって衛生的でない場所にいる場合も 多くなったせいかジステンパーの感染が増えてきている感じがします。 きちんとした予防注射がされていればそんなに心配する病気ではありません。


2010年11月

今まで書いてきた自分の文章を読み直して気が付きました。

私の文章はいつも同じ構成になっています。たとえば小学生が遠足の作文を書くと、何処 に行きました、何とかがありました、何とか君がこんなことをしました、楽しかったです。 というような文章になりがちですが私は今になってもそのままなんだと・・・。実は私は 国語が苦手です。自分の弱い所というのは無意識のうちに頭のなかにあるようで最近でこ そありませんが、これからまた獣医師の国家試験を受けなければいけないという夢をみる ことがあります。その国家試験の科目になんと国語が入っていて国家試験に受からないか もしれないと、うなされる夢です。起きたときは本当に夢でよかったとうれしくなります。 そのぐらい国語は苦手なんです。これからも同じような文章しか書けませんが国語が苦手 な人の文章だからこんなもんだろうと思っていただけたらありがたいです。なるべくわか りやすい文章にはしたいと思っていますのでよろしくお願いします。


2010年10月

例年夏の終わりから秋にかけて花粉によると思われるアレルギーで痒みがでるいぬさんが来院されます。

今年は残暑が厳しかったせいかいつもより遅く9月20日頃から痒みのでるいぬさんが増えてきました。 毎年花粉にアレルギーのあるいぬさんは同じ日に痒くなって同じ日に来院されることが多かったのですが 今年は来院される日がまちまちでした。秋に飛ぶ花粉はよもぎ、ぶたくさ、おおばこなどです。 (私は植物のことはよく知りませんが。)東京都八王子市のデーターですが9月6日ころから ぶたくさの花粉は飛び始めていますがよもぎはほとんど飛んでいません。 花粉の飛び方がいままでとかわってきてアレルギーのでかたも花粉ごとにずれているのかもしれません。

またアレルギーの治療はそのいぬさんによってちがいますが、最近今までの治療に加えて皮膚の保湿を しっかりやってもらっています。思った以上にかゆみがおさまっている感触があります。 保湿だけでは治療できませんが痒がる様子が今までと違うと言われる飼い主さんが多くいます。 アレルギーの治療というと私達獣医師は、抗アレルギー剤を使って次ぎはステロイド、 インターフェロン、免疫抑制剤と薬を変えることに重点をおいて考えがちですが治療は 薬だけではないと感じました。同じ病気でも、もっといい治療の仕方がないのかいろいろな方向から 考えていかなければいけないと思いました。


2010年9月

今年は夏の甲子園を何試合も見ました。

優勝した沖縄の興南高校を見て久々に高校生らしいさわやかさを感じ応援したくなったのがきっかけでした。 10年以上まえに夏の高校野球を甲子園球場で見ました。外野から球場に入ると一生懸命プレーする選手と それを応援する両校の応援団が波のように声援を送っている姿が目の前に飛び込んできました。 胸をぐっとおしつけられて動けなくなるような感動を憶えました。 甲子園でプロ野球を見たこともありましたがそこまで心を動かせれた感覚はありませんでした。 それ以来野球というより夏の甲子園を見るのが好きでした。

最近は負けたら終わりの高校野球なのに、なんとなくあっさり試合をしているような感じがして あまり甲子園を見なくなっていました。言い方は悪いと思いますがスター気取りの選手が多いように 思えます。そんななか興南高校の選手はピッチャーをはじめ他の選手も試合だけに集中し 浮ついた様子がみじんも感じられませんでした。当然同じようにプレーしている高校や選手もいると 思いますが思い込みもあって興南高校を応援していました。 いくつになっても忘れてはいけない”謙虚な気持ち”を彼等から教えてもらった気がしました。

そして年をとればとるほどなくしてしまいがちな”謙虚な気持ち”を忘れずに診療をして いかなければいけないと思いました。


2010年8月

今回はむずかしくないお話しをしたいと思います。つまらなかったらすみません。

私が小学生だった時、友達と友達のお兄さんと遊んでいたときにそのお兄さんに将来の夢 について聞かれました。私はそのころ漠然と科学者になりたいと思っていました。

そんな話を友達のお兄さんにするとそのお兄さんは、俺は獣医になりたいと言い、 おまえが科学者になったらおまえが作った薬を使って動物の病気を治すと話してくれました。 そのときに初めて獣医という職業を知りました。そのときから獣医という言葉がいつでも 自分の頭のなかにあったような気がします。

そして中学に入り自分のやりたい仕事はと聞かれると獣医と答えていました。 夢は膨らみ北海道の大学に行ってそのまま北海道で動物病院を開業したいと思っていました。 そのころはスーパーカーブームで車好きの友人は私が北海道で開業してから乗ることができる 雪に強いスーパーカーを教えてくれました。中学の時点で乗る車も決まっていましたが 北海道の大学にはいかれず開業も車も実現しませんでした。 ときどき、先生はなんで獣医になろうと思ったんですか?と聞かれる時にいまのはなしをしますが 私にとってはなんとなく懐かしい思い出です。


2010年7月

今回はフードについてお話しします。

ご存じのようにフードはペットショップや量販店と動物病院で買うことができます。 そのなかで動物病院のみで扱えるフードを処方食と言います。 特定の病気の時に食べてもらうフードです。 実際には手術の後の回復期やがんになってしまった時、脳に年齢的変化が現れたとき、 おしっこに結石ができたとき、心臓の病気がある時、吐いたり下痢又は便秘の時、 食べ物にアレルギーがあるとき、関節炎、腎臓が悪いとき、肝臓が悪い時、歯肉炎や 歯石をつけないため、肥満の時、糖尿病、皮膚病の時など非常に多くの種類があります。

処方食は一般のフードに比べると値段の高いフードです。しかし病気の治療も兼ねているので その分高くなっていると思って下さい。

たとえばおしっこに結石ができるネコさんは一般のフード(特にドライフード)を食べていると 結石ができてそれが尿道にひっかかっておしっこがでなくなります。 カテーテルという管を入れたりそれもできないときには手術をしなければいけません。 それにかかる治療費は相当な額になります。そのような治療が必要なくなる場合が多いので 変な言い方ですが結果的には割安になるということです。 そしてイヌさんネコさんにとっては病気にならない又は病気がよくなるということなので 快適に暮らしやすくなるということになります。

上に書いてあるような病気がある場合は処方食による治療があることを憶えておいて下さい。 もちろん診察のときに処方食が必要な場合はお話しします。


2010年6月

今回は乾性角結膜炎という病気についてお話しします。

乾性角結膜炎は涙が出にくくなったり作られにくくなったりする病気です。

原因としては先天的に涙をつくる場所が発達していなかったり神経から指令が出なくて涙がでない場合や ジステンパーやヘルペスウイルスなどによる感染やサルファ剤という薬を長く投与されたときにおきます。 また自分の免疫が涙を作る場所を攻撃してしまうこと(自己免疫性)でもおこります。 涙がつくられなくなるので目が乾いてきます。 その状態が続いていると以前お話ししましたが角膜に傷ができて白いべたっとした目やにがつくようになります。

治療は涙を作るところに働く神経を動かす眼薬を使います。それでも涙がでない場合は免疫抑制剤の眼薬を使います。 ステロイドも効きますが角膜に傷がある場合に使うと角膜が白くなってしまうので普通は使いません。 眼薬は基本的にずっと使っていく必要があります。 どうしても眼薬がさせない場合は当院では経験がありませんが耳下腺というよだれのでる管を移動する 手術をしなければならないことがあります。

目が乾いていると気になって痛みもあります。キャバリアに多いように思われます。 白い目やにがでるようになったら気をつけて下さい。


2010年5月

今回は前回に引き続き肥満についてお話しします。

前回は肥満だと思っていたら病気だったというお話しをしました。今回は肥満になると 体にどんなことがおきるのかをお話しします。

肥満とは余分な脂肪の沈着によって体重が増えることです。そのことにより高血圧にな ったり心臓に負担がかかります。また酸素が今までより必要になるのに空気を上手に取り 込めなくなってハアハアしやすくなって暑さに弱くなります。増えた体重を支えるために 関節に負担がかかります。免疫も弱くなりますので皮膚に感染がおきやすくなります。糖 尿病になりやすくなったり発情がわかりにくくなったり、妊娠したとき胎児が大きくなり やすく難産になりやすくなったり、肝臓が悪くなる場合もあります。他には麻酔が覚めに くくなったり、同じ手術でも脂肪があることで手術がしずらかったり出血が多くなってし まうこともあります。

もう一度ボディコンディションスコアを見ていただいて ご自分のイヌさんが肥満でないか確かめてみて下さい。


2010年4月

今回と次回は肥満についてお話しします。

肥満は単純性肥満とそれ以外に分けることができます。 今回は普通に太っている(単純性肥満)と思っていたらそうではなかったという肥満についてお話しします。
肥満かどうかはボディコンディションスコアというもので五段階にわけて評価します。 (当院のホームページにのっていますのでご覧下さい。) 普通に太っている訳ではない肥満とは浮腫(むくみ)や腹水、お腹に腫瘍などがあってお腹が膨らんでいる場合や 副腎皮質機能亢進症というお水をたくさん飲む病気、糖尿病で特に発情期のめす犬さん、 寒がりであまり食べないのに太っていることが多い甲状腺機能低下、てんかんのような発作をおこす インシュリノーマといわれるような病気などで太っている場合などのことです。 他には薬によって太る場合もあります。

太っているほうがかわいいと思われるのも分かりますが太っているとからだによくないこ とがたくさんあります。そしてただ太っているだけだと思っていたらいろいろな病気がお きていることがあることも憶えておいて下さい。


2010年3月

狂犬病について

最近のニュースで2009年の一年間で中国では2000人以上の人が狂犬病で亡くなっているとの報道がありました。 法定伝染病の死亡者数としてはエイズ、肺結核についで3番目に多いとのことです。

前にもお話ししましたが狂犬病はイヌさんだけの病気ではありません。哺乳類のすべての動物が罹るといわれています。 日本では1956年以降国内の発症はありません。 これは日本国内で狂犬病をもった動物がいなくなっているのと検疫によって 海外から狂犬病の動物が入らないようにしているからです。 しかしすべての動物に検疫をしたり狂犬病の予防注射をしているわけではありません。 検疫をすりぬけて狂犬病の動物が入ってくる可能性は十分あります。 というか日本で狂犬病がでないのが不思議なくらいだと言われています。

たとえば海外から輸入された動物が狂犬病に罹っていて日本国内に入ってから逃げてしまい、 狂犬病の注射をしていないイヌさんにかみつけば、そのイヌさんは狂犬病を発症します。 発症すればほぼ100 パーセント死亡します。偶然が重ならなければ起こらないことですが これから十分考えられることです。イヌさんや間接的に人が狂犬病にならないように、 ほとんど家のなかにいるイヌさんも狂犬病の注射はうけていただいたいと思います。


2010年2月

今回はケンネルカフについてお話します。

カフとはセキのことです。イヌさんの感染によってセキがでる病気として代表的なものとして ジステンパーがあります(ジステンパーはご存じの方が多いと思いますが違う機会にお話しします)。 それ以外としてケンネルカフがあります。

この病気は原因がひとつではなくパラインフルエンザやアデノウイルスと言われる ウイルスやボルデテラという細菌などいくつかの病原体によってセキをする感染症を まとめてケンネルカフと呼んでいます。 たくさんのイヌさんのいる場所に行ったりイヌさんのたくさんいる場所から来たりした ワクチンを受けていないイヌさんがセキをして来院された時、何らかの感染症を疑います。 その場合まずジステンパーの感染を調べます。ジステンパーは肺炎になって命にかかわる場合が多く、 ながく時間が経ったあとに脳炎を起こすこともあるからです。 それにくらべるとケンネルカフはそれほどひどい症状はでません。 ただひどいセキがながく続くことがありますので治療には時間が必要な病気です。

たくさんのイヌさんのいる場所にいったり来たりしたあとにセキをするようになったら ジステンパー以外にケンネルカフという病気があることを憶えておいて下さい。


2010年1月

今回はいぬさんの糖尿病の話をします。

いぬさんの糖尿病は水をたくさん飲んでおしっこをたくさんして、たくさん食べるのに痩せてくる というのが典型的な症状です。膵臓で作られるインシュリンというホルモンは血糖値を下げます。 インシュリンはからだのいろいろな細胞の中に糖を送り込み、結果的に血管の中の糖を減らす働きがあるからです。

糖尿病になると膵臓のインシュリンを作る場所が免疫や炎症などによって壊されて インシュリンが出なくなったり、他のホルモンの影響などでインシュリンに抵抗性ができて しまったりして血糖値が上がってしまいます。 血糖値が上がってくると尿の中に糖が出てしまいます。糖がでると水を浸透圧と言うもので 引っ張る状態になりたくさんの尿がでるようになります。そしていつも以上に尿がでるので のどが乾いて水をたくさん飲みます。また糖が尿と一緒に捨てられてしまうので食欲は いつも以上になるのに体重は減ってしまいます。糖尿病が進むと白内障になったりや腎臓 が悪くなったり感染がおきやすくなったりします。

いぬさんの糖尿病を治すためにはほとんどの場合インシュリンが必要です。 インシュリンは種類によって効いている時間が違います。 インシュリンの種類と回数や量が決められれば血糖値のコントロールはうまくできます。 そして血糖値がコントロールできていれば普通の生活が送れます。また肥満になると糖尿病になりやすくなります。 糖尿病の予防のひとつとしてはいぬさんを太らせないことは大切なことです。

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2009年12月

今回は犬パルボウイルス感染症についてお話しします。

犬パルボウイルスに感染すると激しい嘔吐とひどい下痢の症状がでます。 とくに便は血便または血液そのものが出ているようになります。 また子犬では心臓の筋肉に炎症をおこすことがあります。 心筋の炎症は命の問題になることもあり、吐いたり下痢をする前に起きることが多いので 原因不明の突然死となってしまう場合があります。 致死率の高い病気ですがインターフェロンやタミフル(当院では使用例がありませんが)を使うことで治癒率 があがっています。

とはいえパルボウイルスにかからないように予防をしていくことが一番大切です。 生まれてすぐの子犬はお母さんからもらった免疫があるのでウイルスに感染しませんが、 生後2ヶ月から4ヶ月のあいだにお母さんからもらった免疫はなくなってしまいます (お母さん自体が免疫をもっていない場合は免疫をもらうことはできません)。 予防注射はお母さんの免疫がなくなる2ヶ月から4ヶ月の時期にしていきます。 その後の追加接種も大切です。またパルボウイルスは非常に強いウイルスです。 ほとんどの消毒剤では殺滅できません。普通の状態では2~3年生きると言われています。 予防接種の普及で減ってきている病気ですが今でも見られる病気です。

予防する数をもっと増やしてこれからもっと減らしていきたい病気です。


2009年11月

いぬさん、ねこさんの目に、たくさんの目やにがついていることがあります。

いぬさんの場合、眼球の一番外側の角膜というところに傷ができていることが多く、 ねこさんは、カゼのウイルスによる結膜炎をおこしている場合が多くみられます。 角膜に傷があるかを調べるのには染色液を使います。 最初麻酔の目薬をさして気にならないようにして、そのあと染色液の目薬をさして傷があるか調べます。 ほとんどいやがらずに検査させてくれます。

角膜に傷があると、動物自身の傷を治す反応で角膜が透明な状態から白く濁った状態に変わってしまいます。 したがって角膜に傷がある場合、傷を治すことと白く濁った角膜を治すための眼薬を使います。 もし角膜に傷がある時にステロイドの入った眼薬を使うと角膜がもっと白くなってしまう場合があります。 したがってこの場合ステロイドの眼薬は使ってはいけない眼薬となります。 また角膜に傷ができるのはケガをしている場合だけでなく、涙が作られにくくなる 乾性角結膜炎という病気で角膜が乾いて傷がつくこともあります。 その場合は涙を作れるようにする別の眼薬もつかわなければいけません。

また、ねこさんのカゼによる結膜炎も全身のカゼの治療が主体ですが2次感染をおさえるために 抗生物質の入った眼薬を最初使います。 ステロイドの入った眼薬から使いだすと結果的にカゼの治療を長引かせてしまう可能性があります。 このように目におきている状況によって薬は違うものを使わなければいけません。 間違った眼薬を使えば逆に目の状態が悪くなってしまいます。

いつもよりいぬさんやねこさんに目やにがたくさんついていたら、とりあえず家にあった ご自分の眼薬をさしておこうとしないで病院で診察を受けていただくことをおすすめします。


2009年10月

今回は猫さんの口内炎についてお話しします。

猫さんがエサを食べなかったら、食欲がなくて食べないのか、食べたいのに食べられないのかを見てください。 いつもどおりエサを置いて食べにきて匂いも嗅ぐのに食べなければ、食べたいのに食べられない状況が 猫さんに起こっていることが考えられます。

その原因の一つとして口内炎があります。口内炎は口の中にある炎症をすべて含みますので カゼのウイルスでおこる舌の潰瘍や歯肉炎も含んでお話しする場合もありますが、普通は上あごと 下あごが交わる部分(口峡といいます)に起こるひどい炎症のことをいいます。 口内炎の痛みはひどくてドライのキャットフードがあたっただけで悲鳴をあげることがあります。 治療をしないとどんどん痛みがひどくなってまったくエサが食べられなくなります。 口内炎というとそれほど怖い病気ではないように思われがちですがそうではないのです。 また猫白血病ウイルスや猫エイズウイルスに感染している場合もあります。 なるべく早く見つけて早く治療を始めることが大切です。


2009年9月

「やっぱり先生は動物が好きなんでしょうね。」

よく飼い主さんから言われる一言です。正直なところ飼い主さんほどではないと思います。

私が子供のころは家が食品の関係の仕事をしていたので動物を飼ってはいけないと言われていました。 頼み込んでインコと一度だけイヌを飼わせてもらいました。 そのあと大学を卒業し研修が終わって病院を始めてからゴールデンレトリバーと日本ねこを飼い始めました。 ゴールデンは女性のスカートに頭を入れるという特技をもっていました。関心することにキュロットスカートには 頭は入れないという教わってもいないのに正しい状況判断ができました。 ねこはひどいカゼをひいたときがあり、ずっとトイレのトレーの中に入っていました。 それを見た友人が風呂でのぼせたようだ、と言っていました。笑われたのがくやしかったのか そのあとみるみるうちに元気になりました。

現在フレンチブルドックを飼っています。 彼はタバコを吸っている人の歯磨きのときのようにオエーとします。 なかなか上品なので私と遊んでいるときオエーとしそうになると、ちょっと私に背をむけてオエーとします。


2009年8月

今回はチョコレート中毒についてお話します。

家の中にあるもので中毒をおこすものは意外とたくさんあります。 身近でおこりやすい中毒の一つとしてチョコレート中毒があります。 チョコやココアなどに入っているテオブロミンというものでおこります。 夜コーヒーを飲んだら寝られなくなったことがあると思いますが、その状態がひどくなったのがチョコレート中毒です。 症状は異常に興奮したり不安そうになったり、吐いたり、ひどい場合ケイレンをおこして心臓や呼吸が止まってしまいます。 チョコの種類によってテオブロミンの含まれている量は大きく違います。 イヌさんの体重1キロあたり普通のチョコで20~40グラム、製菓用チョコレートパウダーでは 7グラム程度で中毒をおこすといわれています。 ホワイトチョコはテオブロミンの含まれる量が少ないので中毒はおきにくいと思われます。

家の中にはごくあたりまえにチョコはあると思います。 イヌさんにとってチョコレートは危険な物として口にできるところに置かないでください。


2009年7月

今回は猫白血病ウイルスについてお話します。

ねこさんに感染するウイルスはたくさんありますが主なものとしてはカゼのウイルス (カリシ、ヘルペス)、猫エイズウイルス、腸コロナウイルス、猫白血病ウイルスなどがあります。

猫白血病ウイルスはねこさんのよだれや鼻水のなかにいますのでお互いに舐め合ったり 同じ食器でえさを食べたり水を飲んだりすることで感染します。舐め合うことで感染する ので家の中でたくさんのねこさんを飼っている場合、全部のねこさんが感染してしまうこ ともあります。便や尿にはウイルスは生存しないといわれています。猫白血病ウイルスの 場合は感染したねこさんの30%がずっと血液の中にウイルスがいる状態になります(持 続性ウイルス血症)。他の40%は体の中にはウイルスがいるけれども血液の中にはウイ ルスがいない状態となり残りの30%は一旦ウイルスに感染してその後に免疫ができて体 にウイルスがいなくなる状態になるといわれています。したがって感染してもすべてのね こさんに症状がでるわけではありません。感染したねこさんの20%に腫瘍(リンパ種や 白血病)が発生します。

また免疫の状態が悪くなることで口内炎や昔ひいたカゼの症状が 出る場合があります。ほかには赤血球が減ったり(貧血)、白血球が異常に増えたり逆に 減ったり、血小板が減ったりします。治療はインターフェロンの5日間大量投与と、腫瘍 がある場合は抗ガン剤や貧血には造血剤など、でている症状によって治療がかわります。 残念ながら他のウイルス感染症に比べて治療の反応はあまりよくありません。

しかし感染を予防するワクチンがあります。以前仲間の先生と松本市内で猫白血病ウイルスの 発生状況を調べたところ当院から松本駅にかけて多く発生がみられました。 ねこさんが外に遊びに行ったり、たくさんのねこさんを家の中で飼っている場合は 特にワクチン接種をおすすめします。


2009年6月

今回はマダニのはなしをします。

イヌさんの顔や耳に突然スイカのたねがくっついていたら又は急にイボができたらマダニがついているのかもしれません。

マダニは草むらでイヌさんが通るのを待っていて散歩などでイヌさんが草むらに入った時に寄生します。 もともとの大きさは1ミリ程度ですがイヌさんの血を吸って10ミリ位の大きさになります。 そのときの大きくなったダニの様子がスイカのたねやイボのようにみえます。 ダニはイヌさんの皮膚のなかで温度の低い顔や耳で血を吸います。見えやすい場所なので一度ダニがつけばすぐにわかると思います。 そしてダニは血を吸うだけでなくバベシア症やライム病という病気もうつします。
以前は山に入った猟犬にしか見られないものでしたが最近は家の周りの散歩から帰ってきたらついている等のことが年々増えています。 ダニは無理に引っ張るとキバが残って炎症をおこしますので引っ張って取らないようにして下さい。
ダニはイヌさんの背骨に沿った部分の毛を分けて駆除剤を塗ることで駆除できます。 薬によって違いますが1ヶ月または1ヶ月半のあいだ効果があります。ダニは血を吸ってから48時間以内に駆除できます。 又バベシア症やライム病の病原体の感染率が高くなるのはダニが血を吸ってから48時間以降なので病原体の感染も完全ではありませんが防ぐことができます。

イヌさんの顔にスイカのたねがついていたらご相談ください。


2009年5月

去年もお話しましたがイヌさんがフィラリアになった時の症状についてもうすこし詳しい話をします。

蚊がイヌさんの血を吸うとき蚊はたくさんの血を吸いやすくするためにかわりに自分のヨダレをだします。 ヨダレの中にはフィラリアの子虫が入っています。したがって蚊がイヌさんの血を吸うとフィラリアが イヌさんの体に入ってしまいます。フィラリアの子虫はイヌさんの細い血管に入りそのあと太い血管に乗り 右の心臓に入って成虫になります。

感染してすぐにイヌさんに症状はでません。 フィラリアに感染して何年か経つと右の心臓にフィラリアがいることとフィラリアからの分泌物で その先にある血管がつまった状態になって、右の心臓の血液を送り出すことがうまくできなくなります。 また全身をまわった血液は右の心臓に戻ってきます。しかし右の心臓には送れなくなった血液が残っているので 全身をまわった血液は右の心臓に戻りにくくなって渋滞をおこした状態になります。 渋滞のうしろには肝臓があります。渋滞がひどくなると肝臓の中も渋滞(血液がいっぱい)になり、 肝臓がふくらんでしまって肝臓の仕事であるタンパク質を作ることができなくなります。 そうすると血液は低タンパクな薄い血液になります。

薄い液体は濃い液体に移動する性質があります。 血管の中が薄くなると血管の外は相対的に濃い状態になりますので、血管の中から外へ液体(血液中の水分)が漏れでます。 それがおなかでおこれば腹水、胸でおこれば胸水といいます。胸水が貯まったたりフィラリアの出す分泌物で 肺の血管に炎症をおこすと疲れやすくなったり咳がでたりします。腹水がたまるとお腹がふくらんできます。 腹水がたまった状態はフィラリアの症状が相当進行した状態です。治療にも反応がなくなってしまうことも 多くなり末期に近い状態ということになってしまいます。

フィラリアの予防をしていないイヌさんや毎年11月末まで予防をしていなかったイヌさんは フィラリアにかかっていないか検査を受けていただき、これからの予防をきちんと5月から 11月末までしていただきたいと思います。


2009年4月

今回はイヌさんのアレルギーについてお話しします。

ヒトと同じようにイヌさんにもアレルギーがあります。症状としてはかゆみ(皮膚病)と吐いたり下痢(消化器症状)などがあります。 アレルギーは原因になるもの(アレルゲンといいます)が体に入ったり、くっついたりしておこります。 アレルゲンの種類はいろいろな分類がありますが大きく分けると、食べ物、家の中にある物、家の外にある物、と カビ(真菌)になります。食べ物はなんでもアレルゲンになります。豚肉は比較的多い気がします。 家の中にある物としてはハウスダスト(ダニの死骸)やプラスチックの食器、化繊の敷物などがあります。 家の外にある物としてはスギ、ヒノキ、イネ科植物、ヨモギなどの花粉等があります。(他にもたくさんあります。)

アレルギーの症状としておこるかゆみは目や口のまわり、耳の入り口、手足と指、脇など、かゆがる場所がある程度きまっています。 また、柴犬・シーズー・ダックスフンドなどは他のイヌさんよりアレルギーを起こしやすい犬種です。 治療は抗ヒスタミン・ステロイド・免疫抑制剤といわれるものが主体でしたが2 年ほど前からインターフェロンの治療も 加わりステロイドの副作用の心配も減ってきました。

アレルギーに関しては今回だけではまだまだ足りないので次回もっとくわしい話をしたいと思っています。


2009年3月

2月だというのにあたりまえのように雨が降っています。

この時期に雨が降っても途中から雪に変わっていくのが普通だと思いますがまったくそんなことはなさそうです。
最近、100年に一度の異常気象とか100年に一度の経済危機などという言い方がよく使われています。 何となく100年に一度だから心配ありませんと言われている感じがします。 上に立つ立場でわざと安心させる意味として言われているのであれば大事なことだと思いますが、 それを受け止める側としては今までの100年のあいだには一回だが、これからは同じことが毎年起きるかもしれない 位に考えておかなければいけないような気がします。
物事をネガティブにとらえるのではなくシュミレーションの中に最悪の状況が想定できればその時の対処は 想定ができていなかった時とはまったく違ったものになるはずです。 今年、年配の方からいただいた年賀状に、最近は今までの経験が役に立たないことが多くなったと書かれていました。 そのとうりだと思います。ただそれを悲観的にならずに、これから今までにない新しい経験を積むことができる かもしれないと思うようにしています。
不思議と悪い方のシュミレーションをしておくとそこまで悪いことは起きないことが多い気がします。


2009年2月

今回は避妊手術や去勢手術をするまでの流れについてお話しします。

緊急の手術の場合は全く違ってきますが、ある程度時間的な余裕がある避妊去勢手術をする場合は、 まず心音など全身状態のチェックと血液の検査をします。全身の麻酔をしますのでからだの状態をみるためです。
血液の検査はイヌさんの場合は貧血のチェック、白血球の数と種類のバランス、血液中のタンパク量、 電解質のバランス、血糖値、腎臓や肝臓の検査、あと出血しやすい状態がないかを 血液凝固時間というものや血小板の大きさや数で確認します。
ネコさんはそのほかにエイズと白血病のウイルスに感染していないかを検査します。 検査で問題がなければ都合の良い日に手術の予約をいれていただきます。
手術は水曜・日曜を除いた午前の診察が終わった時から始めます。 手術の12 時間前から絶食と絶水が必要です。前日の夕飯を食べたらそのあとにエサ・水をあげないで下さい。 麻酔はイソフルレンという肝臓や腎臓に負担がかかりにくいものを使います。麻酔の時は人工呼吸器も使います。 麻酔の途中で呼吸が弱くなったり、最悪な場合呼吸がとまってしまう場合がありますが人工呼吸器を使っていれば その心配がなくなります。実は人工呼吸器を使うと自然に自発呼吸は止まってしまいます。 その代わりに器械で適切な呼吸回数に設定し、安定した麻酔の状態を手術中維持できるようにしています。
手術当日は来院していただいたら麻酔の前投薬を注射します。その後お預かりして手術の準備にはいります。 立ち会いの必要はありません。退院は翌日です。

手術や麻酔にはリスクは避けて通れません。すこしでもリスクが下がるようにして飼い 主さんが手術を受けていただく時、なるべく心配が少なくなるようにしていきたいと思っ ています。


2009年1月

今回は会陰ヘルニアについてお話します。

会陰(えいん、と読みます)とは肛門のまわりの部位のことです。 会陰ヘルニアは肛門のまわりの筋肉が薄くなり破れてしまって、おなかの中にある腸や膀胱がでてしまう病気で、 見た目には肛門を中心に片側または両側がぽっこりとはれてしまいます。 ヘルニアになると一生懸命ふんばるのに便や尿がでなくなります。指で押しても痛がりません。

原因としては男性ホルモンの影響が考えられています。したがって5 歳以上の去勢手術をしていないオス犬さんでおこりやすい病気です。 この病気になった時は救急処置として肛門に指を入れ便をかき出したりカテーテルという管を入れて尿を出したりします。そのあと筋肉の 破れた部分にヘルニアプレートというものを入れて腸や膀胱がおなかから出ないようにします。
筋肉を縫い合わせる手術もありますが筋肉が薄くなっているのであとでまた破れてヘルニアをおこすことがあるので 当院ではヘルニアプレートを使う手術が一般的です。
もともとよく鳴く犬さんがなりやすいと感じています。鳴くことは腹圧がかかるのでヘルニアをおこしやすいと思います。

犬さんの高齢化がすすんで会陰ヘルニアは多くみられる病気になってきました。 去勢手術はメス犬さんの避妊手術に比べるとその重要性が低いように思われてきましたが 最近では会陰ヘルニアをおきにくくするため、他にも高齢になっておきる病気をおきにくくできるので大事な手術だと感じています。

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2008年12月

今回は白内障についてお話します。

犬や猫にも白内障があります。白内障は目の中のレンズ(水晶体)が白くなってしまう病気です。原因として生まれつき(先天性)とそれ以外として若年性、糖尿病性、外傷性、 内分泌性、中毒性、老齢性のものなどがあります。ねこさんはもともと白内障になりにくく外傷からなる場合が一般的です。イヌさんは年齢とともに例外なくすべてのイヌさんが 発症すると思います。前にお話しましたが大型犬と小型犬では平均的な寿命に違いがあるので白内障になる年齢も違います。小型犬・中型犬は10 歳を超えてから大型犬は 8歳くらいから発症する場合が多くみられます。

治療はレンズの交換をする手術です。当院は手術経験の多い大学病院の専門医に紹介をしています。

すべての方が遠方でやはり費用のかかってしまう専門医で手術を受けていただけるわけではないと思っています。ほかには白内障の進みかたをゆっくりにする目薬があります。 その薬を使って症状がゆっくりになることで散歩で物にぶつかったりしないようになる場合が多いのでQOL(生活の質)をあまり下げないようにできます。 愛犬に気になることや思い当たる事がありましたらご相談ください。


2008年11月

最近エビデンスという言葉がよく使われます。
エビデンスとは根拠という意味です。私たちの場合は獣医学的な根拠となります。

最近はエビデンスに基づいた獣医療を心がけるよういにして経験や独自な治療をしないでだれでも同じことができるようにしています。
ただすべてエビデンスに基づいた治療するのではなく、エビデンスはないけれど(きちんとした根拠はまだないけれども)という場合があります。
たとえば以前から膀胱炎をおこしやすい、胃炎をおこしやすい、または心臓の病気があるなどの動物が季節の変わり目に 急にその症状が出てきたり悪くなったりということが同時期におきることがあります。 まったくの個人的な考えですが気温・気圧・湿度の変化が体の免疫・ホルモン・神経の三つのバランスのどこかに作用して同時期に体調の変化をおこしたのではと思っています。

まだまだわからないことがたくさんありますが、今までははっきりできなかった根拠(エビデンス)ができた時はもっとよい医療ができるはずです。
同じ症例のつもりでも、いつもと同じなのか違うのか、小さな変化を見逃さないようにこころがけて診療をしていこうと思っています。


2008年10月

今回は猫のエイズについてお話しします

猫のエイズはウイルスの感染によっておこります。
人のエイズウイルスと同類ですが猫以外には感染しません。また比較的弱いウイルスでアルコールや洗剤でも死滅します。 けんかなど咬まれることによって感染しますが、交尾や接触だけでは感染しません。

したがって一緒に飼っている猫がエイズのウイルス感染があっても、咬まれることがなければ他の猫が感染していないことがよくあります。

現在、日本では外に出る猫さんの12%にウイルスの感染があるといわれています。 けんかをする雄猫に多く見られます。ウイルスの感染は血液検査でわかります。 感染すると無症状の時期が数年続きます。そのあと口内炎や皮膚病などをおこし、 ゆっくり免疫の機能がおち免疫不全の状態になります。やせてきて腫瘍ができたり 昔ひいたカゼの症状がでて治らなくなったりします。

しかし感染がわかった時点でインターフェロンを投与すれば無症状のまま寿命を迎える猫さんもたくさんいます。 最近猫エイズのワクチンができました。外に行く猫さんや他の猫に咬まれたことのある 猫さんは、まずウイルス感染の検査をうけて、感染のある猫さんはインターフェロンの治療を、 感染のない猫さんはワクチンをうけていただきたいと思います。


2008年9月

今回は椎間板ヘルニアについてお話しします。

人間と同じようにイヌさんも椎間板ヘルニアになります。
急に首や腰を痛がったりうまく歩けなくなったり起き上がれなくなってうんちやおしっこが出にくくなったりします。
椎間板は背骨と背骨の間にあって骨同士がぶつかっても大丈夫なようにするためのクッションのような物です。 その椎間板が軟骨や線維に変わって、上にある神経を押し上げておきるのが椎間板ヘルニアです。 軟骨に変わりやすいのはダックスフンド、コーギー、シーズー、ビーグルで若い時から起こります。 線維に変わるのは犬種に関係なく加齢に伴ってゆっくり起こります。
どちらにしても四肢の麻痺など後遺症を残さないために早く発見し早く治療することが大切です。


2008年8月

暑い時期になると吐いたり下痢をしたり胃腸の調子が悪くなるいぬさんやねこさんが増えます。
ほとんどの場合2~3日の胃腸炎の治療でよくなりますがそうでない場合もあります。その一例として異物を飲みこんでいる場合があります。石、木片、ボール、ビニールなどや夏ではとうもろこしの芯や桃の実などを飲み込んでいる場合もあります。
異物は大きいものは胃で、胃を通過しても小腸で閉塞してしまうことがあり完全な閉塞をおこすと急いで手術して摘出する必要があります。
散歩の途中何か食べていないか、家のなかにいる場合何かなくなっているものはないか気をつけていただきたいと思います。
子犬の時期はとくに注意が必要です。
成犬になってもダックスフンドやキャバリアは異物を飲み込んでしまうことが多いように思われますので注意してください。


2008年7月

6月末~7月始め頃におきやすい病気として熱中症があります。以前は日射病とも言われていましたが、日にあたっておきるだけではなく体育館の中でもおきるので言い方が変わってきました。
犬ねこでおきるのは、ほとんどいぬさんです。
真夏より梅雨どき急に晴れたあとにおきることが多くみられます。車に乗せたままエンジンを切ってちょっと買い物に行ってもどってきたらハアハアして苦しそうになった、真夏ではないので家の庭に半日おいておいたら倒れていた、など大丈夫だろうと思っていて熱中症になってしまう場合が多いようです。
いぬさんは人間とちがって体があつくなってもほとんど汗をかきません。息をハアハアさせてからだの熱をだしてまわりの涼しい空気を吸って体温を調節します。
しかしまわりの空気が暑ければ一気に体温があがってしまい熱中症になってしまいます。
熱中症になると電解質異常やショック、DICという体のいろいろな場所からの出血など、めずらしいことでなく命にかかわる重大な問題をおこします。
熱中症をおこさないようにするために飼い主さんは、いぬさんは人間より暑さが苦手だということや、いつもよりハアハアしている様子がないかなど、いぬさんの様子を日頃から気をつけて見ていただきたいと思います。


2008年6月

今回はフィラリアになるとどうなるのかをお話します。
フィラリアという病気になるということはそのイヌさんは心臓の病気になってしまったということなのです。
心臓の病気は右の心臓と左の心臓で悪くなった場所で症状が違います。フィラリアにかかると右の心臓が悪くなります。
実際には疲れやすくなる、セキがでる、おなかに水がたまる等の症状がでます。おなかに水がたまる状態になると命の問題になってしまいます。
またフィラリアになったイヌさんがすべてなるわけではありませんが急性フィラリア症というおしっこが赤くなって急に元気がなくなる症状もあります。
このようにかかってしまうと大変な病気です。かからないように予防ができる病気ですから今からでも間に合いますのでぜひ予防をしていただきたいと思います。


2008年5月

5月末からフィラリア症の予防が始まります。1 ヶ月に 1 回、11 月末まで薬を飲んで予防します。6ヶ月間有効な注射もありますがショックをおこす可能性があるので当院では使用していません。
また、フィラリア症予防薬で回虫や釦虫などの虫下しができるタイプもあります。
待ち時間がなるべく短くなるように 5 月の始めから順番にはがきを送ります。
はがきが着きましたら犬さんと来院ください。その時フィラリアにかかっていないか検査をします。フィラリアにかかっていて予防薬をのませるとショックをおこすことがあるからです。
昨年の 11 月以降に生まれた犬さんは検査の必要はありません。体重で飲ませていただくくすりの量が変わるので毎月体重をはかって予防薬をお渡しします。


2008年4月

飼い主さんと飼われている動物が似ていることはよくあることだと思います。
顔が似ている場合もあれば体型が似ている場合もあります。
最初は標準の体型だった動物が年齢が進むにつれ太ってしまうこともよくあります。
動物の体重を減らすには食事の変更が一番大切で飼い主さんにもそのことを話ます。
何ヶ月か経って動物の体重が減って、 ”よかったですね”と話をすると
今までしていなかった散歩をきちんとするようになった、とのこと。
よく見ると飼い主さんもスリムになっているなんてこともあります。


2008年3月

飼い主さんのきちんとした食事管理や病気に対する早めの受診により、犬や猫さんの平均寿命は10年・20年前に比べずっと長くなっています。
小型・中型犬は15歳、大型犬は12歳くらいが平均的な寿命ですが当然それ以上長生きできる犬さんはたくさんいます。
その犬さんのなかには夜泣き、部屋の隅に頭を突っ込んだまま戻らない、異常な食欲がある等の症状がでることがあります。人間と同じ痴呆(認知症)の症状なのです。
脳の血管の異常によって起こると考えられています。マグロの目の奥にあるDHAやEPAという脂肪を与えると(サプリメントがあります)症状が軽減する場合が多いので気になる症状がありましたら相談下さい。


2008年2月

寒い日が続いています。高齢な犬さんで昔にくらべて寒がるような場合、甲状腺機能低下という病気の可能性があります。
きちんと診断をしてクスリを飲めばそれほど怖い病気ではありません。血液をとって検査センターに送って調べます。
心当たりがあったり気になることがありましたらご相談下さい。
来院できない場合は電話で様子を言っていただければ結構です。


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